これは恋愛の話だから,もちろんありきたりの話.
タンスの中にたくさんあるシャツと,その思い出の話だ.
僕には今でも大好きな女の子がいるが,その名前は墓まで持って行こうと思っている.どうせ,みんなにはばれてることだし.
小学校の前には畑があって,美しい麦畑や芋畑だった.ああ,悲しくなる.詩を書いてるわけでもないのに,何かを思い出すと,とても悲しくなる.僕の子供たちが履いてる靴.彼女が,昔履いてたオンボロの靴.玄関の匂い.僕の母親は,そのオンボロの靴を見て,その女の子をとても気にいった.心は錦.うちの田舎では心より美しいものなんて,なんにもない.
そうだ,麦畑の話だった.それは本当にきれいで,季節の色と風を,ランドセルと僕たちにいつも運んでいた.僕が書く絵の基本は,いまでもあの畑たちの色だ.
愛されないほどつらいものはないと,ロバート・ジョンソンが,いい歳をして繰り返し歌う.おまけにブルースだから,繰り返しがしつこくてしょうがない.男たちは何度死んでも,同じ十字路で迷うだろう.愛されることではなくて,愛すことを説いたキリストが男だったのは,本当に奇跡的なことだ.
失恋しないには,恋をしなけりゃいいさ.
地球に麦畑があるのに? 誰が,そんなことができるもんか!
投稿者: 山下由
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