2022年5月31日火曜日

「アーマン」2006/12/12 

西表島などで,宅地が開発される時に,オカヤドカリとかヤエヤマセマルハコガメとかトカゲなどの,天然記念物や絶滅危惧種や多くの生き物を,開発地の外へ避難させるようなケアが行われているか?

ほとんど行われていません.

白浜の開墾地でも,こうやってアーマンが転がっていた.殻にこびりついた土が,ブルドーザー開墾との戦いを物語っている.



投稿者: 由

「白浜ショック!」2006/12/10 

11月30日,西表島白浜.

仲良川(ナーラカーラ)最下流で,宅地造成が行われていて,唖然とした.

ここは,この川の河口域の入り口で,ここから仲良川!という自然度の高い海岸だった.ここには小さい川も流入していて,西表では珍しい泥干潟の環境があり,沖縄県レッドデータブックに登載された生物も生息していた.

下の写真に映っているマングローブでは,2004年の岡山大学の調査で,未記載種のヤイマカチドキシタダミも発見されている.

この場所は私有地であり,東京の不動産会社が開発したようだが,地元の殆どの人が知らされておらず批判が出て,事後説明会が開かれた.

生態系の破壊という以前に,地元住民の共有財産である自然環境や愛着のある景観への配慮が欠落していることが問題視される.小学校の裏であることも考えれば,住民生活・感情への配慮は,とても大切である.

生態系保全の観点からは,こうした「小さな」自然環境の改変は,西表の自然に集積的に大きなインパクトをもたらしつつある.

西表への移住,ホテルや住宅の建設は加速度的に進行しており,自然へのダメージが増加している.

西表のような原生的自然環境が残されている場所では,開発のダメージへの予防策を充分に整備する必要がある.

自然環境の改変を伴う恐れのある事業については,小規模でもアセスメントを義務づけることや,廃水については(共同)浄化槽を整備するなどの対策が必要である.

これらの対策は,県や町レベルでの条例整備が有効ではないかと考えられる.

また,環境省や県がそれぞれの「自然保護区域」に対して,保全指導をする権限の強化が必要ではないだろうか.



投稿者: 由

「泡瀬で会おう」2006/12/10 

11月26日,泡瀬で野生生物保護学会のエクスカーション.「泡瀬干潟を守る連絡会」が案内役のカヌーツアー.みんな,とても楽しそう.

都市の中にある自然.

泡瀬,沖縄市の住民は,世界一の海が庭先にあることを,よく知って欲しい.



投稿者: 由

「泡瀬で会おう」2006/12/8

11月25日,俳優の柳生博さん(日本野鳥の会会長)が泡瀬干潟を訪問.柳生さんは,泡瀬のことをとても心配してくれた.

近くには,工事の仮設橋梁.仮設橋梁の先端には捨石護岸も作られている.この橋梁や護岸の建設場所の生物相も,生物への影響も全く検討されないまま,工事がされている.生物学的には,全く乱暴なとんでもない話だ.科学的・生物学的であろうとすることは,現実世界に対して,どこまでも微細に細やかな感性を使おうとすることだ.だから,科学は,生物学は偉大なのだ.

そして,科学や生物学に補われなければ何も説明できない感性を,現代人は恥じいるべきなのだ.


投稿者: 由

「馬鹿の壁」2006/12/8 

11月25日,沖縄市泡瀬干潟.水平線上の埋立堤防が,とても長く大きくなっている.「生態系への無理解の結晶」であり,「沖縄政策の低能さの象徴」である,長大な「馬鹿の壁」.官僚主義の鈍感さが作り出す,無神経な構造物.本当に吐き気がする.

泡瀬のアセスメントでは,この最初に工事が行われる場所の生態系の情報は殆ど何もなく,評価もされていない.アセスメント後に,この堤防のすぐ近くでは,ホソウミヒルモやヒメメナガオサガニといった今年新種記載された生物が発見されている.左側に見えるのは浚渫船で,ニライカナイゴウナの第一発見地のすぐ近くを浚渫している.疑いなく毎日,沖縄県のレッドデータブックに記載された種が浚渫されて死滅させられているが,そのことについては総合事務局は知らないふりを決めこんでいるようだ.

新種を含む貴重な生物が,この工事海域に生息することを,市民・研究者が指摘し,総合事務局も同等のデータを持っているが,工事は進められている.生態系の評価や保全について,全く折り合いがついていないのに,工事は進められている.

新種が発見されたばかりの海域で行われている工事として,貴重種・絶滅危惧種が非常に多くいることが分かっている海域で行われている工事として,この工事は前例のないものである.

国内における「生態系への配慮を欠いた公共事業」の今年のグランプリを獲得できるだろう.これは全く冗談でも,誇張でもない.


11月25日


11月26日:カヌーから撮影


投稿者: 由

「そ~んなの常識~ タッタ・タララ~」2006/12/1 

11月24日,内閣府沖縄総合事務局へ,某学会某委員会による泡瀬干潟保全のための意見書提出・申し入れに行く.某委員会委員長である某教授と,泡瀬問題の委員である私.この申し入れの日程は,11月1日の段階でお互いに調整して決まっていたのに,某課の係長一人が出て来て「上の者は用事が入っていませんので,私がお聞きして伝えておきます」と言う.全く非常識,極まりない.泡瀬干潟保全に関する外部からの意見を聞こうという姿勢がないというよりも,これは社会的な常識の話だ.某教授は毎週金曜日しか時間が取れない忙しい中で調整して,日帰りで来ている.話し合い(意志疎通)をしたいと伝えてあるのに,「用事が入っていませんので,伝えておきます」というのは話し合いの約束を一方的に破ったということではないか.泡瀬干潟の生態系保全について,研究者や市民の声を聞くのは,総合事務局の業務の一部であるはずである.環境保全に充分な配慮を行うことが,事業の前提であるのだから.

最近の沖縄総合事務局の「態度の悪さ」は目に余るものがある.最近は,意見・申し入れは書面でのみ受け付けて,口頭では聞かないと言っている.文書を郵送で送るか,手渡して口頭での申し入れを加えるかは(またそれを受けるかは),政治的重要性に付加されるスタイルであって,一律に無条件に口頭申し入れや話し合いを拒否することができるものだろうか.政治的非常識もはなはだしい.

我々は,我々の思想の中で,泡瀬や沖縄市・沖縄県をよりよくしたいと思っている.思想や方向性は違っても,沖縄総合事務局も沖縄をよりよくしたいと思ってるはずではないのか?! これがいつも,行政への申し入れをする時に思うことである.

総合事務局は,泡瀬・沖縄について「よりよくしたい」「環境保全についての意見を聞きたい」などとはハナから思ってないから,このような対応になるのだろう.

良識がない,ということは,恥知らずとも言うのだよ.

K上さんやT田さんがいた頃は,もうちょっとましだったよなあ.


投稿者: 由

「Noctiluca」2006/12/1 

野外科学懇話会 "Noctiluca" 第2回セミナーが行われます。

http://marine1.bio.sci.toho-u.ac.jp/members/noctiluca/061202.html

どうぞ,よろしく.


開催日:2006年12月2日(土曜日)

開催場所:東邦大学理学部5号館1階5102教室(〒274-8510 千葉県船橋市三山2-2-1)

参加自由・無料


プログラム

13:00-13:10 開会挨拶 飯島明子(日本国際湿地保全連合)

13:10-13:50 芳賀拓真(東京大学)「沈木にみられる特異な貝たち -沈木生物群集が今,熱い-」

13:50-14:30 浅見崇比呂(信州大学)「樹上性カタツムリAmphidromus属における左右二型現象の進化」

14:30-14:40 (休憩)

14:40-15:20 山下由(貝類保全研究会)「日韓共同干潟調査の歴史と成果」

15:20-16:00 福田宏(岡山大学)「余は如何にして保全貝類学徒となりし乎 Ver. 2006」

16:00-16:30 ディスカッション


投稿者: 由

「ハナヅトガイ」2006/11/23

昔は,瀬戸内海の海岸に打ち上がったものを,よく拾った.この貝を,30年ぶりくらいに天草の海岸で見つけた.生きているのは,初めて見た.潮間帯の転石の裏のマンジュウボヤに付着していた.

「ハナヅト」の語彙を調べたんだけど分からない.分かる人は教えて下さい.漠然と牛の鼻ぐりのようなものを想像していたんだけど,,.

こういう貝の生態写真のデータベースがあるといいなあ.


2006年5月11日:熊本県上天草市永浦島

北緯32度32分36秒,東経130度25分13秒(GIS)


投稿者: 由

「忘れ介」2006/11/18

今日は,片瀬西浜に久しぶりに散歩に行って,運動不足を痛感.体重が過去最高になっているので,歩くと足腰が痛い.こうして歩行困難になった場合は,海中生活に移行するのが哺乳類としては楽なんだよなあと思う.

クジラやジュゴンの祖先が,陸上生活での運動不足と肥満に直面し,重力との戦いとダイエットを放棄して,海に還ったことはよく知られている.楽をしたい,努力したくないという全生物に共通のエネルギーは凄まじいもので,楽をしたいという精神エネルギーを物理的に抽出できれば,恐らく石油も原子力も必要なくなるだろう.

そんなわけで,今日はワスレガイをたくさん拾って,心を癒した.

片瀬浜に 片恋忘る 肥ひ忘れ介


投稿者: 由

「荒磯介」2006/11/18 

今年の10月上旬に,藤沢市片瀬西浜に打ち上がっていたアリソガイの生貝.殻長13cm.親戚のSHさんが拾って来てくれて,とても驚いた.「相模湾レッドデータ-貝類-」でも,1975年頃から急速に見られなくなって「消滅寸前」と評価されている.片瀬西浜では殻がごくごく稀に見られることがあるが,現生しているかどうか不明だった.なんというか,5年や10年に一度という大物.

この他,ヒナガイの打ち上げもすごく稀で,コタマガイの新鮮な殻は未だに見たことがない.



投稿者: 由

「普段着がないことなど」2006/11/14

普通の服をほとんど持っていなくて,上着類はだいたいステージ衣装系の服ばかりで,インディアン風とかパンク風とか皮ジャンであるとか,Tシャツがまたキリスト系とかアニマル系とか「神風」とか「レーニン」とか「干潟」とかプリントしてるのばかりで,ズボンはもう破れたのしかないわけで,急に社会人の集いなどがあると着ていくものがない.

スーツは一応持ってるけど,なんか地味な普段着みたいなのがほとんどない.常に社会と戦争状態にあるような服しかないわけで,ある日,ノーマルな人に会うことになると,とても困る.

先日は息子の運動会に着ていく善良な父親用の衣装がなくて,W. F. PonderがくれたWorld Congress of Malacology 2004のシャツを着ていった.これは見た目はごく大人しいのでよかったが,見る人が見れば「キチガイです」というマークを付けて歩いてるようなものだ.

もう10年以上,さすがに着てないのは,豹毛皮風のブレザーで,それも似合わなくなったから着ていないだけで,「いける」と思えば毎日着て歩くのだが.

あきて着なくなった服は,田舎に送り返すのだけど,田舎でとうてい着れないような派手な服は手元においておくので,タンスの中はどんどんギラギラした服で占められていく.

しかしまあ,これからは和服だな.現代社会や人間関係に興味がないことを常にアピールしておかないと,世の中,ろくなことがない.


お気に入りの鉄火場仕様シャツ


投稿者: 由

「ワイルドサイドの続き」2006/11/7 

冷凍バナナさんが,11月3日のライブ写真をアップしてくれています.

http://reibanana.exblog.jp/4494658

すごく表情のあるいい写真が多い.

温かいレビューも書いてくれていて,

http://bananadayori.blog67.fc2.com/blog-entry-125.html

このレビューは,今現在,石川浩司(前編)なんだけど,さらに続くようなので,お楽しみに.


冷凍バナナさん撮影


投稿者: 由

「節祭(しち)」2006/11/7 

西表島の節祭は,今年は11月6~8日.今年も行けなくて,とても残念.

節祭は「西表島祖納・干立地区伝わる伝統行事。農作業上の年度変わり、正月儀礼の祭であり、今年の豊作感謝と来年の豊作祈願を目的とし行われる。他島の豊年祭でも見られるミルクのみではなく、ここでしか見られないオホホやフチダミなども現れる。500年もの伝統があり、国の重要無形文化財に指定されている。http://islands.web.infoseek.co.jp/yaeyama/shichi.htm」

西表の皆さん,新年のお慶びを申し上げます.


2003年11月23日:祖内


投稿者: 由

「THAT EVERY CROWN」2006/11/5  

春の沼の王子が笑っている

藻の中でオルガンを弾きながら

こんなにまぶしくて悲しいと

秘密もついつい忘れてしまう

どれにしようか 

今夜のドレス


丘の上の王子が歩いている

鳥の骨を探しながら

僕と君と君と僕と僕と君と

笛の吹き方 忘れたよ

なんにしようか

今夜の歌は


森の中の王子が戦っている

白い生き物と戦っている

泣けてくる泣けてくる剣の先で

白い生き物が泣いている

なんになろうか

王様になったら


荒地の王子が歩いている

草と影とネズミを連れて

空にあって海にあって僕にはない

空になくて海になくて僕にある

なんにしようか

今夜の歌は


なんにしようか

今夜の歌は



*この歌を,こないだのみんなへ.


投稿者: 由

「STAGE FLIGHT」2006/11/5  

11月3日,「晴れたら空に豆まいて」で「東京酔いどれダンスミュジック 7」.1日の朝に強烈な気管支炎にかかってしまって,強烈なクスリをいっぱい飲んで,ふらふらで当日になった.リハが終わってから,酒で全身のエーテル体を整えて,Stage Flight.


Diamond Johnny

Emerald Forest

アイスクリームの王子

Hey, Blues Man!

鏡と煙

WAR

いくらでも愛してる


をやった.


石川浩司の出番の時に,「ゴリラの面」をコンビニ袋で上手に作ったのに,小さくてかぶれないわ,前が見えないわで,穴をあけてるうちにズタズタになってしまった.

真黒毛で100m走るように踊って,レフトフライが今日も落ちてくる落ちてくる.

セッションは,学校に間に合わない~That Every Crown,そして中川五郎さんが登場してMe & Bobby McGee!! 

気がついたら,可愛いいダルメシアンのいる家で眠っていた.

泊めてくれてありがとうでした.


真黒毛のリハ


投稿者: 由

「怒りはどこから来て どこへ行くか」2006/10/30 

大分県速見郡日出町に小深江(こぶかえ)という美しい入り江があった.緑に囲まれた小さい入り江で,潮が引くと入り江全体が干潟になった.この静かな入り江に半日いると,潮が引き潮が満ちてくる美しさに心を打たれた.

この干潟はこともあろうに,プレジャーボートの繋留桟橋を作るために,その半分が掘削されて削られた.別府湾で遊んだり,関サバや関アジを釣り上げていい気になってる奴らのために,この小さな静かな美しさは失われた.

大分県杵築市の八坂川の蛇行部も埋立てられて失われた.小深江や八坂川蛇行部の美しさや素晴らしさは,その場所に行って,一日をすごさないと分からないかもしれない.それは「大自然の美」ではなくて,もっと小さく静かで,誰かがどこかの日向にすわって時間を呼び止め,見つけて立ち去っていくようなあの美しさ.「実在する日常」の美しさだった.

それらの美は「小さい」ということだけでも,マスメディアや社会の狂気に鋭く対立するものだ.誰もが普遍性を求めたり,自分を社会に知らしめようとして,やってくる.最も大切なのは,誰にも理解されない自分であるというのに! 

沖縄市の泡瀬干潟では海上工事が続いている.山口県の上関に原発を作ろうとしている奴がいる.そして,韓国のセマングム干拓だ.セマングムのことをまともに考えたら,気が狂うに違いない.

八坂川が埋立てられた時に思ったのは,やっぱり軍隊を持ってないと駄目だなということだった.泡瀬の工事が始まったら,木刀を持って乗り込もうと思っていたが,まだやれていない.セマングム干拓のことでは「もう,直接行動しかないと思う」とキム・キョンオンに言ったことがある.韓国は警察国家であり,そういう直接行動への警察暴力は半端ではない.「やろうと思えばできる.誰かが死ぬのが怖いと思うか? 俺の学生の頃には,反政府運動で毎日のように友人が死んでいた」とキム・キョンウオンは言った.そして「韓国は今でも戦時下にある国だ.徴兵もあって,例えば生物学を学ぶような若い時の貴重な時間も奪われる」と語った.

あるシンポジウムがあった夜中に,真っ暗なホテルのロビーに,山下弘文さんが独りで腰掛けていた.「腹がたって,眠られんことがあるよ」と弘文さんは言った.

これらの苛烈な怒りは,どこから来るのだろうか? その怒りは,自分の半身を削がれるような全く個人的な感情で,明らかに「自然保護」と呼ぶにはふさわしくないと言っておきたい.大分県佐伯市大入島の埋立が,強烈な直接行動によって阻止されているのは,住民がその海を自分の半身・家族として守ろうとしているからである.反対運動の気勢を挙げて,飲んで仲間と連帯し,それでも弘文さんがホテルのロビーで独りになろうと思うのは,諫早の海が語りかける声が聞こえてくるからなのだと思う.

怒りを言葉で表現しない方がいいと思うことがある.誰にもさわれない,目に見えないものを守ろうとしているのだから.

この怒りはどこから来て,どこへ行くのか?


故山下弘文さん.菅波完撮影.


投稿者: 由

「酔いどれ東京ダンスミュジック 7」2006/10/28 

ライブの詳しい情報は

http://www.ne.jp/asahi/aozora/record/

予約もここからできます.


真黒毛は柿沼朋音(ds),石坂泰一(b),橋本史生(g),カワバタ(per),ハルナ&香苗(cho) ,大槻ヒロノリ(vo),大槻智美(key),大野晶靖(sax),鈴木大介(sax)、土屋 貴司(ching-dong),多田葉子(sax,fromこまっちゃクレズマ)

の大編成です.お楽しみに.


投稿者: 由

「ライブのお知らせ」2006/10/28 

酔いどれ東京ダンスミュジック 7

~ワイルドサイドのロマンス、もしくは同期会~


2006年11月3日(金 祝)

at 代官山「晴れたら空に豆まいて」

前売¥2300+1D 当日¥2800+1D OPEN 16:00 START 17:00


【出演】石川浩司 (ex.たま),真黒毛ぼっくす

山下由(with石塚俊明,Ds; ロケット・マツ,Pf; 金井太郎,G; 後藤勇, B)

Opening Act:徒然楽隊


「晴れたら空に豆まいて」:Tel. O3-5456-8880

東横線代官山駅改札口正面口を前進,みずほ銀行そばの地下2階(徒歩1分)

ネット予約:http://www.mameromantic.com/



投稿者: 由

「頭が勃起」 2006/10/27

10月26日,高円寺のGood Manでライブ.

知久君が見に来てくれて,高円寺で飲み,阿佐ヶ谷で飲み,荻窪で飲む頃には,頭が勃起していて大変だった.



投稿者: 由

「住んでびっくり!」2006/10/26 

西表在住のライター・山下智菜美さんの「住んでびっくり! 西表島」という本が出ました.

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4575299170/ref=sr_11_1/503-9110770-7588719?ie=UTF8

帯の「イリオモテヤマオンナ生息中!!」というあおりがいいです.

「イリオモテヤマオンナ日記」は,

http://www.chinami.st/index.html

山下さんの言葉で,とてもいいなあと思ったのは,「西表って,ふっと顔をあげた時に,とても美しい風景が飛び込んで来ることがよくあって,,,,,」という話.

そうそう,あれがただなのがすごいよなあ,と日本にいるとよくおもう.


金星号でのトゥドゥマリ浜調査,2003年3月29日:山下さん撮影


投稿者: 由

「蛤情報」2006/10/26  

10月12日,熊本市内で買った地物のハマグリ.100g=150円で,これだけで297円ととても安い.しかし小さいのを流通させてて,資源の先行きは大丈夫かなあと思う.

写真下段の左から2番目のチェック模様の茶色いハマグリ.これは珍しい模様で,韓国のハマグリ(M. lusoria)には時々出るが,日本ではかなり稀だと思う.



投稿者: 由

「九州帝国」2006/10/22 

博多と香椎で飲んで,料理があまりにもおいしいのでウンザリした.こんなおいしいものをあたりまえのように毎日食べてるから,九州はいかんよと思う.それで,九州人はますます暢気になり,脳天気になり,へらへらする.サバの刺身があまりにもおいしいので驚愕した.私も九州人なのに,これは今まで食べたことがなかった.人生を損してきたような気分だ.

一緒に飲んでると,楽しいことと冗談しか言わないのが,九州人の偉いところだ.

つやつけたり(かっこつける:福岡),議を言う(理屈をこねる:鹿児島)なんてのは,社会のマナーに反することである.

明治政府による西郷隆盛の暗殺未遂が発覚した薩摩で,政府への出兵が西郷とその弟子たちで協議された.出兵への慎重論をいともたやすく撃破したのは「おはんら,死んとが恐ろしうて,議をいうとな?」という篠原国幹の一言である.

九州では,議をいうのは恥ずかしいことであり(鹿児島),武士道とは死ぬことと見つけたり(佐賀)であるので,この一言には誰も逆らえないのである.そして,そのような全くただただ九州的な生活習慣のために,鹿児島人は西南の役に突入し討ち死にするのである.

熊本においては「肥後の議論倒れ」という諺があり,熊本人は自己主張が強く俺が俺がと騒ぐだけで,他人の言葉に耳を傾けないため,話が全くまとまらないと言われている.これは,幕末の文久元年,庄内藩の志士清川八郎らが肥後勤王党に決起を呼びかけに来た時の話で,肥後勤王党の人々は議論百出して意見がまとまらず,清川はこれにあきれて「肥後の議論倒れ」と捨てゼリフを吐いて帰ったと言われている.

このように九州は,議論することはださく,議論しても意味がないという社会なのである.人生を深刻に考えない人たちの帝国であり,「武士道とは死ぬことと見つけたり」なんてのはもう,私は決して考えたり悩んだりしませんという宣言であって,人生への苦悩も悲壮感も微塵もない社会なのである.

九州は素晴らしい.早く道州制が導入されて,独立して欲しいものだ.


投稿者: 由

「天草」2006/10/22 

天草で参加したのは「干潟生物調査研修会2006」というイベントで,これはなんだか干潟研究者,ベントス研究者の底辺を広げるぞ!というゲリラ活動みたいなもので,素晴らしかった.

活動報告が更新されてます.

http://www.tomioka-visitor.ecnet.jp/page24.html

天草というところは,臨海実験所が二つもあったり,チャンポンがおいしかったり,隠れキリシタンが今はもう隠れてなかったり,天草四郎メモリアルホールがあったり,遠い親戚がいたりして,いいところだ.

昔,牛深のスナックで飲んでいて貝の話をしていたら,漁師さんがわざわざ家に帰って綺麗なベニオキナエビスを持って来て,「遠くから来たんだから」とくれたことがあった.

とても過激な友達も住んでいて,「五橋を爆破せよ」という合言葉もある.五橋とは天草五橋のこと.


投稿者: 由

「ライブ情報」2006/10/22 

「オン・ザ・道草アゲイン vol.55」

10月26日(木):PM8時~(open7時半) 

at グッドマン:JR中央線・総武線高円寺駅南口を出て右へ,焼き鳥「大将二号店」の手前を左:徒歩一分.http://www.ne.jp/asahi/chika/on/chilashi2.htm

1700円(ドリンク付)

出演:青木タカオ(vo.g)+志村貴彦(Pr),山下由(vo.g),後藤勇(vo.コントラバス)



投稿者: 由

「Vallonia pulchella」2006/10/19

これは2.5mmくらいのミジンマイマイの仲間.

日本にいるものは,恐らく移入.



投稿者: 由

2022年5月30日月曜日

「胡麻陸田螺」2006/10/19

3日ほど,福岡の山中を徘徊.

これはゴマオカタニシが石灰岩にくっついているところ.

3万円しないデジカメでこんな写真が撮れるのがすごい.



投稿者: 由

「夕暮れ」2006/10/19 

10月10日,天草からの帰りに不知火海にアワモチ調査へ行く.

夕暮れの葦原で懐中電灯を使って探すと,ヤベガワモチがいた.

なかなか可愛いい奴なのだが,この写真は怖い.



投稿者: 由

「漁村の教会」2006/10/19

10月7~10日,天草に滞在.

これは羊角湾にある崎津天主堂.

崎津へのキリスト教の伝来は永録12年(1569年)で,今の教会は昭和9年に再建されたもの.

どんな歌がここでは,歌われているのだろう.



投稿者: 由

「地球の夏休み」2006/10/5

着ていたいのはシルク

夏は昆虫採集へ

楽天的な妹と

キャンピングカーで


うねうねした山道を

心もそのままに曲がって

めちゃくちゃな唄を

めちゃくちゃに唄って


目指すのは あの高原

浴びるほどクワガタを採り

頭の苔むしる 

彼女と一緒に


これは夏の思い出

これは夏の思い出

地球はどこへ行っても

美しいものよ


地球はどこへ行っても

美しいものよ


奈良の春日山の麓


投稿者: 由

「流し」2006/10/5 

駅や電車の中で歌ったこともあったが,あんまり楽しくなかった.


ラムズフェルド国防長官,山下由,某大物歌舞伎俳優(1999, New York City)


投稿者: 由

「PAINTED MAN」2006/10/5

昔はえらく簡単にナチュラル・トランスに入って,こんな感じで暴れていたもんだ.今は,シャーマンや暴れ坊(あばれぼ)の仕事をさぼっている.


「PAINを祝福する男」:1990年代


投稿者: 由

「博徒返上」2006/10/5

ギャンブルというと麻雀くらいしかしない.それも今ではごくたまに.競馬は年に1回くらい.パチンコは嫌い.

麻雀は役の多様性,ホンロウホンイツトイトイドラドラとかが,貝の多様性とかに通じるとこがあって好きだ.人間相手なのが楽しい.

偶然性を支配しようとか,超能力を使う,とかいう欲求がギャンブルには隠されていて,それが人を惹きつける.

しかし,「偶然」を必然に変えられるのは,強い意志と努力,自己への厳しさにしかない.ギャンブルの中では,麻雀は牌の多さと複雑なルールによって論理性が強く,偶然と意志(必然)の関係を考える上で,素晴らしい遊戯であると言える.このような麻雀の性格の上で,そのあるべき姿を発見したのは桜井章一である.

どんな手段を使っても勝つとか,卑怯さが肯定されるギャンブルの世界に「道」を作った人だ.桜井章一以降の若手の麻雀打ちは明らかに,麻雀に対する姿勢が違う.彼は博打であり遊戯であり世界の片隅にある遊具に,存在する明確な意味を与えた.

麻雀の世界でプロと呼ばれる人たちは,それぞれが多くの時間を使い努力を積み重ねている.ここでも,私はプロにはなれそうもない.


荻窪「フラワー」にて(1990年代初期):朝武プロ,土田プロ,山下由


投稿者: 由

「馬刀突き唄」2006/10/2 

ゴトーさんが,失われゆく唄の記事を探してきた.九州の労働歌の特集.西日本新聞は子供の頃,愛読していた.この特集は素晴らしい.

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/kayou/20060807/20060807_001.shtml

ここに紹介されているのは,大分県国東半島に伝わる「まてつき唄」で,マテガイ(馬刀貝)漁労で歌われた唄だ.

「嫌じゃ母(かか)さんマテ突きゃ嫌じゃ 色も黒うなりゃ腰ゃかがむ」

という歌詞は知っていて,これは干潟でマテガイを突く漁だと思っていたが,さにあらず,水深10m前後でのけっこう大掛かりな漁なので驚いた.

「沖のトナカにお茶屋を立てて 上り下りの舟を待つ」とあるので,昔から船での漁だったようだ.水深10m前後で採っているということは,これはマテガイではなくて,アカマテやオオマテだったのだろう.

「まてつき唄」は貝にちなんだ民謡として珍しいということで,故波部忠重博士が記録しておきたいと話されていたことがあった.私にはその思い出があって,今年参加した国東高校東京同窓会で唄の消息を尋ねたら,この記事にあるように保存会があるということで安心した.

マテガイの唄も珍しいが,この漁法も珍しい.干潟のマテガイやアゲマキを棒で突いて採る漁法は各地にあるようだが,水深の深い場所で採る漁法は珍しいと思う.他の土地にもあるのだろうか?

マテガイの語源は諸説があってはっきりしていないが,韓国でも「マ(馬)」と呼ばれている.胴体が横に長いからなのか? 語源にディープインパクトを感じています.

早起きして凱旋門賞を見たんだけど,ディープインパクトは調子が悪そうで,かわいそうだった.フランス語が耳障りで,うんざりしていたのだと思う.でも,単勝が1.1倍を記録しただけでもすごい.

ということで,馬の話題でした.

ジャングサマテガイ(じゃん草馬刀貝:泡瀬干潟産,長田さん採集):「じゃん(ざん=ジュゴン)が食べる草」=海草(の生えている所に生息する)マテガイ.「儒艮(じゅごん)・草・馬・刀・貝」という名詞の集合がおもしろい.

「儒艮が草競馬に行って,刀を貝ました.刀を買った儒艮は,競馬で負けた馬を切り捨てて食べようと思っていましたが,よく考えたら刀をうまく使えませんでした.刀を持っていても侍になれないことを知って,儒艮は海で暮らし肉を食べずに草を食べることにしました.儒艮が海に捨てた刀は貝になり,じゃん草馬刀貝と呼ばれるようになりました」(「琉球の動物名由来 第三巻 中城村」).

と言うのは冗談で,Solen soleneaeの和名・ジャングサマテガイは名和(2005)の命名です.


投稿者: 由

「森の歌」2006/9/27

彷徨い歩く

俺は流れ者

夢を追いかけ

彷徨い歩いてきた


でもいつか望みがかなったなら

心が満たされたなら

あの故郷へと

帰りたいものさ


森の歌がおれを育み

良いことも悪いこともそこでやった

だから俺は森の住人

あの森は我が故郷


海から海へと

彷徨い漂い

さー帰ろう

あの森へ


いつかはきっと

みつかるだろう

共にあの森を

愛してくれる人が


*この歌は昔,KN氏がよく歌っていたもので,Buffy Sainte-Marieの原曲らしい.原曲名や収録アルバムの名が分かる人は教えて下さい.


投稿者: 由

「ALL GREEN」2006/9/27

中国語を学ぶために,若い頃から麻雀に親しんでいて,最近もたま~に打ちにゆく.

思えば高校の頃からよく役満をあがっていて,荻窪のフラワー時代は「役満大王」と呼ばれていた.

最近また役満をあがることが多くて,緑一色と大三元字一色を,どちらも緑撥で和了した.ALL GREENな自由な世界が,やって来ているようだ.

麻雀から学んだことも多いし,出会ったたくさんの素敵な友達もいる.

しかし,麻雀で失った時間は多い.少しばかりの金を得るために,徹夜して体を壊して.


「人間は時間を殺そうとして,最後には時間が足りなくなる」

(Bob Dylan)


金より大切なのは時間だ.

Time is moneyとは,なんと不健康な呪われた諺だろう


投稿者: 由

「貝介(かいすけ)」2006/9/27 

この日記にたびたび出て来る貝屋という用語の解説.

貝屋とは「貝を売ってるお店(水産業者)」のことではなく,貝類研究者・愛好者・コレクターの総称です.より広義には,貝を扱っている水産業者ももちろん入ります.つまり貝に精通している人が貝屋と呼ばれます.

神武天皇が日本最古の貝屋だと言った場合,これは貝類研究者・愛好者であるという意味です.

同様に昆虫研究者・愛好者・コレクターは,虫屋と呼ばれます.

貝屋・虫屋という表現の中には,分類に精通しているという要素が多分に入っています.したがって狭義の貝屋は,種の同定が満足にできない人種を,貝屋と認めていません.その世界では,貝の名前をいかにたくさん知っているか,貝の名前しりとりにいかに強いか,いかに多くの標本を所蔵し珍貝・奇貝を密蔵しているかがステイタスとなります.

日本軟体動物分類学会が最近発表した貝屋の定義は以下の通り.


1.ほとんど貝にしか興味がない

2.命より,もしくは命の次に貝が大切

3.膨大な貝の標本を溜め込んでいる

4.生態学に興味がない

5.挙動不審で,一般に容姿・服装が汚い

6.魚屋で貝を標本用に買う

7.もめごとや噂話が好きで好戦的

8.漁師に怒鳴られたことがある

9.友達が少ない

10.論文の執筆が遅い


学会では,この定義に7項目以上あてはまる人種を「貝屋」と定義しており,社会への注意を呼びかけています.

日本の古い諺に「貝は貝屋,虫は虫屋」(梁塵秘抄)がありますが,この諺も貝や虫の分類・同定の困難さを示していると言えるでしょう.しかしこのような分類の難しさを笠にきた分類屋の傲慢な態度は,科学界全体から常に一定の顰蹙を買っています.

虫屋・貝屋が科学的に批判される事例については枚挙にいとまがありませんが,これはその分類群の種の多様性に応じて,ろくでもない人間が多いからだという意見があります.ジュネーブに本部がある科学的良心保全学会は,虫屋の69%,貝屋の59%が科学的マナーを守らないろくでなしで占められているという統計を,発表し警告しています.

「空蝉の 若き日なるや 殻を愛でゐる」 

ツクシマイマイ:大分県姫島

*この記事は自己嫌悪で一度削除しましたが,机に貼って読んでる人もいるとのことで,再掲しました(笑).貝屋には,もの静かでいい人もたくさんいます.


投稿者: 由

「介類和名類従」2006/9/26  

新種・新記録と考えられる貝や和名のない学名に,やたらと和名を付けていて,顰蹙を買っています.私の場合,和名を提唱したことで,その種に対して研究上のプライオリティが自分に生じるとは考えていないので,すみません.以下は,私が関わった和名の名作の数々.


スクナビコナトクサガイ(少名毘古名木賊貝:山下):Terebra pumilio (E. A. Smith, 1873),ヘリグロツクシ(縁黒土筆:小菅)の異名.

カクメイ科(革命科:福田・山下):Cornirostridae Ponder, 1990

イシン属(維新属:福田・山下):Tomura Pisbry & Mcginty, 1946

イッキ属(一揆属:福田・山下):Noerrevangia Waren & Schander, 1993

シドニーカクメイ(Sydney革命:福田・山下):Cornirostra pellucida (Laserson, 1954)

フロリダイシン(Florida維新:福田・山下):Tomura bicaudata (Pisbry & Mcginty, 1946)

ホッカイイッキ(北海一揆:福田・山下):Noerrevangia fragilis Waren & Schander, 1993

ヤシマイシン(八島維新:福田・山下):Tomura yashima H. Fukuda & H. Yamashita, 1997

ヒメシマイシン(姫島維新:福田・山下):Tomura himeshima H. Fukuda & H. Yamashita, 1997

メリーランドスナガイ(Maryland砂介:山下):Gastrocopta (Gastrocopta) procera (Gould, 1840)

チャーリーサナギモドキ(Charley擬蛹:黒住・山下):Pupoides albilabris (C. B. Adams, 1841),ヤンキーサナギモドキ(Yankee擬蛹:山下)は異名.

ツヤミジンマイマイ(光沢微塵蝸牛:山下):Vallonia pulchella (Mueller, 1774)

ガンヅキ(蟹付き:山下・福田):Arthritica japonica Luzten & Takahashi, 2003

ユンタクシジミ(ゆんたく蜆:山下):Litigiella pacifica Lutzen & Kosuge, 2006

トゥドゥマリハマグリ(とぅどぅまり蛤:山下):Meretrix sp.(Ozawa, in prep.)

ヤイマカチドキシタダミ(八重山勝鬨細螺:福田・山下):Clenchiella sp.(Fukuda & Ponder, in prep.)

カトゥラプシキシタダミ(かとぅらぷしき細螺:山下・福田):Hydrobiidae gen. et sp.(Fukuda & Ponder, in prep.)

ウラウチコダマカワザンショウ(浦内木霊川山椒:福田・山下):Taiwanassiminea sp. (Fukuda & Ponder, in prep.)

コーヒーイロカワザンショウ(珈琲色川山椒:福田・山下):Assimineidae gen. et sp. (Fukuda & Ponder, in prep.)

ニライカナイゴウナ(にらいかない寄居虫:山下):Leucotina sp.(未記載)

イソスギナミドリガイ(磯杉菜緑介:山下):Elysia sp. (未記載)

チブルヌサリガイ(頭ぬさり介:山下):Lasaeidae gen. et sp. (未記載)

スジカワザンショウ(筋川山椒:山下;韓国名=スジキスウロンイ:筋のある汽水の小さな巻貝:山下・佐藤):Assimineidae gen. et sp.(未記載)

ガタザンショウ(潟山椒:山下;韓国名=ケッポルキスウロンイ:干潟に棲む汽水の小さな巻貝:山下・佐藤):Assimineidae gen. et sp. (未記載)

シャミセンヒキ(三味線弾き:山下;韓国名=ケマサリチョゲ:三味線貝に寄生する二枚貝:山下・佐藤):Lasaeidae gen. et sp. (Hong et al., in prep.),ケッポルヘノジガイ(ケッポルへの字介:山下)は異名.

オオシャミセンヒキ(大三味線弾き:山下):Lasaeidae gen. et sp. (Hong et al., in prep.)

オオシンデンカワザンショウ(大新田川山椒:福田・山下):Assimineidae gen. et sp. (Fukuda, in prep.)

コイブミツボ(恋文小螺:山下):Alvania sp.(未記載)

ドロセンシャ(泥戦車:山下):Onchidium? sp.,ヤベガワモチ(矢部川餅:福田)の異名.


私は,和名に先取権(年代の古いもの)が有効とは考えておらず,異名がいくつあってもいいと考えています.ただし,標準和名をちゃんと決めることは,国内での分類の混乱を防ぐために必要で,日本魚類学会などで先駆的に議論されていますので,参照して下さい.新種の和名に関しては,新種記載論文で提唱されたものを標準和名にすべきと考えていて,未記載種の和名は標準和名の候補にすぎないと思っています.

ガタザンショウ(ケッポルキスウロンイ):韓国セマングム地域(芳賀氏,撮影)


投稿者: 由

「太平洋でゆんたく」2006/9/26

今日届いたVenus(日本貝類学会誌)にユンタクシジミが新種記載されていて,とてもうれしい.


Jorgen Lutzen & Takeharu Kosuge (2006)

Description of the Bivalve Litigiella pacifica n. sp. (Heterodonta: Galeommatoidea: Lasaeidae), Commensal with the Sipunculan Sipunculus nudus from the Ryukyu Islands, Japan. Venus, 63 (3): 193-202.


Litigiella pacifica Lutzen & Kosuge, 2006

ユンタクシジミ(チリハギ科)

タイプ産地:石垣島名蔵

分布:沖縄島沖縄市泡瀬干潟・石垣島名蔵


スジホシムシに共生するこの種は,小菅・久保(2002)が種名不明種として報告し,泡瀬干潟でもNさんが発見してユンタクシジミと和名をつけた(山下ほか,2005).

記載論文では,「将来的に起こりうる混乱を避けるために,山下ほか(2005)で提唱された和名を採用した」とあり,和文要約には複数の貝がスジホシムシに付着する様子を「数名が集まっておしゃべりをするという意味の沖縄方言「ゆんたく」を用いたものである」と和名の由来も親切に解説されている.和名を正式に採用していただいた小菅さんに深く感謝したい.

泡瀬では一匹のスジホシムシに5個のユンタクシジミが共生していた例もあり,丸くて可愛いいこの貝がゆんたくしているように見えたのだった.

ユンタクシジミに最も近縁な種は大西洋のフランス西岸から記載されたLitigiella cuneoti (Lamy, 1908)(やはりスジホシムシに共生)であるとのことで,学名は太平洋の種という意味なのだろう.

泡瀬にいる貝が新種記載されて,本当にうれしい.現在,2ヶ所しか確認されていない生息地の一つが泡瀬干潟なので,その生息環境が保全されるよう期待したい.

スジホシムシに共生するユンタクシジミ:泡瀬干潟(長田さん撮影)


投稿者: 由

「JFW」2006/9/22

小学生の頃,運動会の日の朝に,窓の外でドンガラッガッタという太鼓の音が響いて,「あれは三区の勇者の群か」と唄声が聞こえて来る.

姫島には大きい区分で六区があって,区対抗で村民運動会が開かれる.

中学生になると応援団として,当時の「青年の運動会」に参加した.

各区の応援歌と応援の踊りがあって,私は三区で「南軍浜千鳥」などを踊っていた.

こういう応援歌も踊りも今はやらなくなったと聞いてるけど,本当はどうなんだろうか?

全く「文化の豊かさ」というような近代的な汚らわしい言葉を使いたくないが,おもしれえことやあたりまえの豊かさ,人間が生き生きしているということは,年々失われていくようだ.

こういう唄や民謡,年に一度しか歌われない唄,もう一人しか覚えていない唄,などがたくさんあって,それを残しておきたいなあと思う.記録するということではなくて,いい歌のために.西表の歌とかも.

それで「Japan Folk Ways」という会社を作りたいと昔から思っている.

風が来る四つの神聖な方角が刻印された扇風機(有形文化財,山下家所蔵)


投稿者: 由

「第一支部応援歌」2006/9/22

待ちに待ちたる時は来ぬ

両手(もろて)に正義と友愛を

固く握りて いざ立たん

西浦男児の意気を見よ


クラブを出てゆく強者(つわもの)は

荒波育ちの健男児

熱血たぎるその身には

常に勝利を胸に抱く


西方遥か二十余里

寄せる荒波 岸をかむ

怒涛と戦い鍛えたる

西浦男児の意気を見よ


清正公の御社(おやしろ)に

遠く内海 望みては

名もなき野草にたわむれて

親しみまつれよ この庭に


木蓮堂に鳴く鳥は

今年生まれた若鳥か

生い立つその身と魂は

唄に歌った武田武士


*大分県姫島村の第一区の応援歌.昔,村民運動会の時に歌われた.クラブとは,区の公民館のこと.運動会の日,青年たちはクラブに集合して,この唄を歌いながら,決戦の運動場へ行進した.


投稿者: 由

「社説」2006/9/22 

Aさんが総理になることについては,日本民族二万年の愚かさの総決算だと思いま~す.いったい今の若者や国民の何人が,彼の言う「愛国心」を支持しているのだろうか.民意にはほど遠い所に政治があって,世界は政治マニアが動かしている.善良なる自民党員は極右テロを国民に押し付けたことを永遠に忘れるべからず.

党や組織というのは,最終的には暴力であると,あらためて思った.

ひとりで大地に突っ立っていることが1分もできないなら,我々は地球上の人生で,いったい何ができるんだろうか?

侍も国士も絶滅した,それが戦後だ.


投稿者: 由

「聖龍神」2006/9/22

泡瀬にある「聖龍神之碑」.

右側は米軍泡瀬通信施設,左側が泡瀬干潟.

金網の内側にある通信施設はとてもきれいな緑地で敷地も広い.

干潟を埋立てて人工島を造るよりも,ここを返還して有効利用したらどうだろうか.

内閣府はどこまで沖縄の自然を破壊すれば気が済むのだろうか.

ウチナンチューはいつまで,内閣府や米軍の金にたかる乞食でいるのだろうか.



投稿者: 由

「風速70m」2006/9/20 

台風13号(サンサン)は,西表で69.9mという風速を記録して,大暴れして行った.サンサンとは少女の名前で,中国・香港による命名.少女は怖いなあ.

小林旭は「風速40m」で,「みんな飛んじゃえ 飛んじゃえ 俺は負けないぜ」と歌っていた.内地では40mでも大事(でーじ).

遠くにいる友達にいつかまた会えるといいなあと思う.

「じゃあ,南半球で6時に」というような約束で.


投稿者: 由

「Azami lullaby」2006/9/16

 茎が低いけど,これはイリオモテアザミなのかなあ? 

9月上旬はツノゼミはついていませんでした.

アザミは昔からすごく好きだったんだけど,Medecine wheelで自分のFreeze up moon(凍りつく月生まれ)のトーテムであったので驚いた.Medecine wheelに示されているアザミの性格はよく自分にあてはまる.

アザミは脳や胃腸に特によく効く万能薬であるらしい.どうも今の自分の血行障害は胃腸の弱りから来ているようだ(それも酒と煙草のせいだと思うが).

このように自分が好きな・惹き付けられる植物を口にするのは,体にいいのだろうと思う(猛毒があるものもあるので注意だけど).明日はアザミを摘んで来てサラダにしよう.

「メディスン・ホイール シャーマンの処方箋」(VOICE)はネイティブ・アメリカンの生まれ月占いで,ネットで買えます.おもしろいよ.

ららばい 今夜は どこからかけてるの?


2006年9月6日:西表島宇那利崎


投稿者: 由

「さーふーふー」2006/9/15

「泡瀬干潟を守る連絡会」の事務局長と「さーふーふー」に飲みに,と言うか,またごちそうになる.

これはママさん手作りのイカスミの塩辛で,イカのわたの他に泡瀬産の「じゅうろく」も入っている.濃いいいい味で,島豆腐によく合う.素敵な器もママさんの手製.

ヒラヤーチーを食べながらメリケン粉の話題になった.それで,メリケン粉と小麦粉が同じものだということを知って驚愕した.しかも,うどん粉まで同じものだそうじゃないか! 私がメリケン粉に抱いてきた得体の知れない粉というイメージはどうしてくれるのだろう.

メリケンはamericanがなまったものらしいが,これはなかなか洒落ている.アメリカン粉だとなんだかテキサスの土が入ってそうな感じだし,メリカン粉だと食べるのがなんだか可哀相な響きがあるし.



投稿者: 由

「亜熱帯」2006/9/14 

9月11日,「泡瀬の干潟で遊ぶ会」のK君と泡瀬の調査.総合運動公園の駐車場で潜る準備をしてる女の子が二人いて,埋立で失われそうなサンゴ類を見に行くという.ダイビングスーツを着ていないので「あの辺は,ハブクラゲがたくさんよ」と教える.実際,私が行った時はソーメン流しのようにハブクラゲが流れていた.いつもそんなにいるわけではないようだが,危なくないとは言えない.

それでじゃあ干潟を一緒に回りましょうということで,4人での調査になった.泡瀬干潟が初めてだという二人と,泡瀬干潟にとてもうるさい二人が歩き回る.女の子たちは泡瀬干潟にとても感動して「ここが埋立てられるんですか」と言ってくれる.

この日,良かったのはオオミノガイの生貝が見られたことで,触手をひらひらさせて泳ぎ回るのに感動した.

2日続けて,知り合ったばかりの人たちと一緒に海で遊んだ.こういうのは沖縄だと良くあることなんだけど,人との間の空気が柔らかいというか,亜熱帯の不思議というか.


投稿者: 由

「じゅうろく」2006/9/14

 これは沖縄で「じゅうろく」という地方名のあるリュウキュウサルボオ.沖縄では現在,一般的には「あかがい」と呼ばれている.

何故,「じゅうろく」なのか? 貝の研究者だと縦肋(じゅうろく)を思い浮かべてしまう.アカガイ・サルボオ類の肋の数は重要な分類形質で,例えばヒメアカガイにはシロクサルボオという別名があって,これは4x6=24本の肋があることに由来する.リュウキュウサルボオには38本くらいの肋があるので,十肋でも十六の肋でもないから,縦の肋が多い強いという意味くらいかと思って感心した.

ところがそんな貝屋の常識は沖縄では通用しなくて,これは「毛が短く生えていて,十六の娘のアソコに似てる」からというのが正解だった.大和でもアカガイはアソコの隠語に使われるので,なるほどなあと思ったが,十六と特定するのが渋い.

しかし「十六だともっと毛深いだろう」と主張するウチナンチューもいて,まーにんねーらん.



投稿者: 由

「もーもー」2006/9/13

その干潟では,カンギクに共生しているトウガタガイ科の貝(Pyrgulina sp.)が多く見られた.カンギクは「もーもー」と呼ばれているらしい.ニシキウズなどにも共生していた.

既に和名のありそうな貝だが,なかったら「モーモーナカセクチキレ」と呼びたいところだなあ.牛に共生してるみたい.



投稿者: 由

2022年5月29日日曜日

「いっぺこっぺ」2006/9/13 

9月10日,前日に泡瀬の「千皿屋(せんまいや)」で知り合ったSさんと,中の町の「なんた浜」で知り合ったKさんと潮干狩りに行く.

ここは,泡瀬の北側の干潟で,低潮帯までの距離が短いため,ホソスジヒバリやリュウキュウサルボオが岸に近いところで採れる.日曜日だったので,潮干狩りを楽しむ人がたくさんいた.貝を掘って売ってる人もいるらしい.

リュウキュウザル,シラオガイ,ヤエヤマスダレ,リュウキュウアサリ,サメザラモドキなどもたくさんいて,いっぺーおかずやまーさんど.



投稿者: 由

「泡瀬」2006/9/13 

9月9~11日,沖縄市泡瀬干潟の調査.

荒廃した海草藻場の向こうに,海上工事が進んでいる.



投稿者: 由

「夜明け」2006/9/13 

9月9日.西表島・古見の夜明け.

西表はこういう美しいところなので,観光に行くのはぜひやめましょう.



投稿者: 由

「トゥドゥマリ浜」 2006/9/13 

9月5~8日,西表島トゥドゥマリ浜で,トゥドゥマリハマグリの調査.

9月のトゥドゥマリ浜は突然水が澄み渡る日があって,1年で一番きれいなトゥドゥマリの海を見れる時期であるという.これは島に住んでいる人も殆ど知らないことらしい.

今回は9月8日がそうで,あまりにも美しくて驚いた.



投稿者: 由

「日韓共同干潟調査」2006/9/4

今年3回目の日韓共同干潟調査が,韓国セマングム地域を中心に二週間の日程で行われています.

今回は私は参加できなくて残念.

皆さんの活躍を祈っています.

Onchidium? sp. ヤベガワモチ(セマングム地域,萬頃江河口産)


投稿者: 由

「ニガウリの 緑の中の 苦さかな」2006/9/1 

体調がとても悪くて,まいってます.

ここにくだらない話ばかり書いていて元気で閑と誤解されてるかも知れませんが,実際には病気で多忙で,山のような仕事を病身をだましだまし白蟻のように片付けています.

酒も飲めないほど体調が悪くなってきて困っていますが,そもそも酒のせいで体調が悪いという話はあります.

体の調子が悪くなった場合,我々メディスンマンの業界では,酒や煙草のせいとは考えず,これは何かの呪いであると考えるのが常識的な判断です.誰かが自分にブッラクマジックをかけてるのではないかという可能性をまず最初に検証します.最近,人に恨まれるようなことをしていないかどうかを検証するために深い瞑想に入ります.メールで人を強烈に罵倒したこと,人に仕事を押し付けたこと,女の人に嘘をついたこと,仕事に行くと言って麻雀に行って子供と遊んであげなかったこと,料理の味付けを批判したこと,金を借りて返さなかったこと,沖縄総合事務局の職員を電話で怒鳴りつけたこと,小泉首相の物真似や批判をしたこと,煙草のぽい捨て,貝を腐らせたこと,ヤドカリに餌をあげなかったこと,思い出すときりがありません.

このように呪われる要素が多岐に渡る場合には,呪いを解くのが面倒くさく,ホワイトマジックを使うのも体力を消耗するし,いちいち頭を下げて歩けるかという理由から,我々の業界では「ひらきなおり」という魔法を使うことが3回まで許されています.私の場合,現世において既に,50回ほど開き直っているので,次からの来世16回はもう開き直ることが許されません.

今生で不徳を重ねることで,来世からは親切に正直に生きなければいけないのです.かたくるしい来世を迎えないためにも,今生で正しい生き方をし功徳を積みましょう.


ゴーヤーの 苦さの中の 自由かな


投稿者: 由

「田螺でGO!」2006/8/30 

戸川純さんの有名な歌に「電車でGO!」というのがある.また,石川浩司のあまり有名でない歌に「全裸でGO!」というのがあって,どちらも名曲である.私は「田螺でGO!」という歌を作ろうと思って久しいが,まだ完成していない.田螺を「たにし」と読まず「でんら」と読むのがチョーうけるんだけど,こういうのが自分以外にうけたことはあまりない.芸術家は何事も自分にうけるのを先ず一として,孤独な道を歩まなければならないのである.

全裸はともかく,夏の男は家では半裸というのは昔はあたり前だった.さるまたやステテコ一丁で,スイカを切るために包丁を持ってうろうろしたり,ごろごろする.

自分も今年から室内では積極的に半裸でクールビズを励行している.大切なのは客が来ても必ず半裸で対応すること.これは日本の半裸の思想的な柱なので,必ず守らなければならない.腹が出ていようと,臍が黒かろうと,醜さをここちよく世間にさらす男らしさ.

しかし,醜さをここちよくさらしていると,立場を保証された醜さは増長していくようだ.この夏,太った腹を隠さないどころか突き出して見せたりして半裸で過ごしていたら,腹がどんどん出てきた.太っているのが恥ずかしいと思う心が肥満を抑制していたらしい.自己嫌悪というのはとてもエネルギーを使うので,年をとると出来なくなる.そうやって,思想は年を重ねるごとに,面倒臭いものを放棄して洗練され,最後は石ころのようになるのである.

私の住んでいる湘南では,海が近いので,コンビニなどにもサーファー系の若者が半裸で出入りしている.もちろん,この場合の半裸は醜さの対極にあるもので,腹は出てないし腹筋バキバキで,美的にも社会的にも何の価値もないものである.

やはり口元が思わずゆるむようなマルタニシ的体型が,優しい日本を作っていくのではないだろうか.


投稿者: 由

「志多陀美考」2006/8/26 

志多陀美(細螺:しただみ)は小さい巻貝のことであるが,これを血生臭い戦闘に結びつけたのは後にも先にも日本初代の天皇である神武天皇ただ一人ではなかろうか.殆ど日本最古に分類される歌の中に貝が登場し,敵を滅ぼす容態として表現されていることに驚かされる.「撃ちてし止まむ」は軍国主義時代のキャッチフレーズになったが,「貝のように撃ちてし止まむ」とは,神武以降(つまり有史以降の日本において)誰にも共感が得られず繰り返されなかった比喩である.神武天皇がいかにマイナーな感性の持ち主で,貝をつぶさに観察した人物かということが古事記に示されている.すなわち,神武天皇こそ日本最古の貝屋であり,初代天皇が貝屋であったという驚くべき史実を,日本国臣民は厳粛に受け止めなければならない.また,貝を愛好するということは,初代天皇以来の伝統と格式を誇る「やんごとなき」趣味であるということも,広く国民に認知されるべきであろう.

日本の貝屋の好戦的な気質というのは,この神武以来の「貝のように撃ちてし止まむ」という精神性を遺伝的に継承しているものなのかもしれない.そう考えると,貝屋であった昭和天皇が,はからずも大戦に巻き込まれたのは,神武以来の貝にまつろう戦闘的な呪いに原因があったとも考えられる.

恐らく当時,東国に強大な勢力を持っていた長脛彦との戦いにおいて,地を這い回るような辛苦のゲリラ戦をシタダミの動きに喩えたのだろうが,これは磯の貝をつぶさに観察しなければ出来ないことであり,古代の「貝のミラクル」と呼ぶべきものである.

では,神武天皇が伊勢の海で見たシタダミとは何であったかという問題になるが,この貝には(1)大石(生石)に付着し,(2)よく這い回り,(3)伊勢沿岸に生息する,という特徴がある.ここまで特徴が明瞭に示されていれば,現代の貝屋であれば誰でも貝の名前を容易に推察できる.伊勢沿岸に生息し,大石に付着していて最も目に付き易い貝と言えばもちろんタマキビやアラレタマキビであるが,これらの種は活発に這い回るのは稀である.次に,コシダカガンガラ・クボガイなどが思い浮かぶ.これらの種は比較的活発に這い回るが,主に石の裏側に生息する種なので,貝屋であるとは言え当時の天皇がわざわざ石をはぐって見たとは考えにくいし,石をはぐらなければ見れないような種を万人に訴えるための歌に詠むとは考えにくい.こうしたことから,伊勢沿岸の磯に普通にいて大石に付着し表在性でよく這い回る貝と言えば,これはもうMonodontaの諸種,イシダタミ・クロヅケガイ・クビレクロヅケガイなどが,神武天皇の謂うシタダミの正体に間違いない考えられる.さらに,よく這い回るということに注目するならば,クロヅケガイ・クビレクロヅケガイのどちらかに絞られるであろう.この2種を比較すると,クロヅケガイはよりクロガネ色で好戦的なイメージが強く,低平でゲリラ戦向きであるであることが明らかであるので,神武天皇が伊勢の海で歌に詠んだシタダミの正体はクロヅケガイに間違いないと断定される.

従って,クロヅケガイは日本の歴史・伝統の象徴的な種,天皇制ゆかりの貝として,厳粛に保護されるべきであろう.


投稿者: 由

「日本水細螺」2006/8/24

某友達が青森から貝を連れて帰って来たとのことで,よだれを垂らしながらT大へ向かう.髭友達の青い昴で到着.鯊友達が伊豆から連れて帰って来た淡路筍に感動し,DNAを保存.某友達が鎧角笛を肉抜きする神技に,研究室が静寂に包まれる.青森のとんでもない貝に「ワラジムシかよ」と爆笑し,ビノキュラを覗いて二度爆笑.下北飛沫小螺は欲しいのを我慢したが,日本水細螺だけは10個欲しいと思う.「大きいのは1個,小さいのを3個まで」という厳しい条件で,唾液を瀧のように流し厳選すること六十余分,現地の水に活かし4個を得て,さてもう帰ろうかと思う.髭友達は「小さいのにくっついてきました」と大きいのを2個確保して,毅然としている.さも貝屋として見習うべし.

まあ,それはいいんだけど,ニホンミズシタダミじゃなくて,ニッポンミズシタダミと呼びたいなあ.


神風(かむかぜ)の 伊勢の海の 大石(生石:おひし)に 這ひもとほろふ 細螺(しただみ)の い這ひもとほり 撃ちてしやまむ 

加牟加是能 伊勢能宇美能 意斐志爾 波比母登富呂布 志多陀美能 伊波比母登富理 宇知弖志夜麻牟(古事記:神武天皇)


通釈:神風が吹く伊勢の海の石に這い回っている貝がいるだろう.あの貝たちのように,這い回って敵を撃ち滅ぼしてやるぞ.ああ,貝屋は恐ろしいものよ.


投稿者: 由

「人魚」2006/8/21 

「人魚を 真似て人の 愛撫か」


沖縄 美ら海水族館


投稿者: 由

「残暑御見舞い申し上げます」2006/8/19

「残暑御見舞い申し上げます」  

大分県佐伯市大入島石間浦で採集されたトマヤガイ科?の未詳種.

写真:岡山大学農学部水系保全学研究室


投稿者: 由

「我が祖国 (This land is made for you & me)」 2006/8/17 

「戦没者の尊い犠牲の上に,今日の日本の繁栄がある」のは,そうかも知れない.あの戦争がなければ,日本は帝国主義と侵略の妄想から醒めなかっただろうから.

だが,戦没者を「祖国を守るために戦った人たち」と呼ぶのはどうか? 祖国を守るために戦ったのは日本以外のアジアの人々であり,日本の戦没者は侵略戦争という国政の犠牲者ではないか.それは,彼らの死の意味をすりかえる大きな詐欺であり詭弁だ.

先の戦争の教訓は執政者の錯誤と詭弁が,人民に多大な死と犠牲を齎すというものではないのか.

執政者個人が持つ思想や人格は,国政に大きな影響を齎す.執政者に嘘と詭弁は許されない.ああ,政治家にはなりたくないものだ.

執政者の思想的責任・国政の問題を,「心の問題」「個人の自由」と言い開くのは,まるで最近の若者のように素晴らしい.彼らは,まわりにどんな人間がいても,自分の性格と生き方にしか興味がない.それを「馬鹿の壁」の著者までもが支持する.脳生理学的には政治は理解できないのだろう.

煙草を吸う個人の自由もない国の現代の最大の自由は「靖国に参拝する自由」なのだ.

日本人は宗教を持たない,神を信じない,もしくは最多の神々を信仰している.日本人には真(まこと)はあるが真実は存在しない.真は不変であるが,真実は現実によって変わる,だから心の真以外は何も信じちゃいない徹底的な現実論者なのだ.

小泉さんが靖国に行くことも,彼の心の誠なのだ.

だが,問題は政治を司るという責任なのだ.それは,宗教を司る責任ほどに大きい.宗教責任者が大量殺戮を犯しているのが,現代の地球の最大の問題ではないか.

政治を語るのは愚かだ,政治は語るものではなくするものだ.だから,政治に参加せず,見て見ぬふりをして,A級戦犯の言いなりになった日本人は全員が戦争犯罪者なのだ.

民主主義の原理はとても簡単だ.それは「義を見てせざるは,勇なき也」に要約される.

日本人は軍国主義への反省から,男らしさも勇気も失ってしまった.後にはアメリカに媚び諂う男芸者ばかり.何故,神風という思想まで捨て去る必要があるのか?

日本人は「正論」を語ろうとしない民族だ.何故なら,正論は「真実という思い込み」に根差した空論でしかないから.

「おはよう」「こんにちは」「元気か」「生きちょったんか」,肺が声帯を振動させる空気の間にしか真実はない.

No time to think,考えること,思想はあまりにも遅く,この今の瞬間にも死んでゆく宗教戦争の犠牲者を救うことができない.

「思想は口の中で作られる」(Tristan Tzara)


投稿者: 由

「8月15日」2006/8/17 

「いや~,まいった,本当にまいった」というような気のきいた冗談は聞かれなかったが,小泉某は靖国に参った.

8月15日は,初台のDoorsでNOTALINS(ミチロウ,石塚俊明,坂本弘道)のライブを見た.ミチロウさんも「朝から参拝をテレビで見てしまって,寝不足です.馬鹿野郎」と言ってました.トシさんや坂本さんと久しぶりにしゃべって,楽しかったな.

帰りの電車がなくなってしまったので,8039に行こうと思ったのだが,「待てよ,こないだの日記でアズサさんが怒ってるかもしれない」と思って,吉祥寺のネットカフェで夜明かしすることにした.

私が疲れていて,ネガティブな人になってるだけで,8039も全ての酔っ払いも素晴らしいので,どうもすみませんでした.


投稿者: 由

「金星さんのライブ」2006/8/12 

金星さんは,台風をくぐり抜けて関東に来ています.


8月13日(日)午後7時~:葉山一色海岸・海の家「ブルームーン」にて,石垣金星(歌・三線)、真砂英明(インディアンフルート)、遠藤晶美(ギター)の「まーぱいライブ」があります。

ブルームーンは

http://www.ioi.tv/special/03_08/bm_text.html

地図

http://www.bluemoonhayama.net/bluemoonmap.html


投稿者: 由

「風よ止むな!」2006/8/11


「If music is over」,1980年代.


投稿者: 由

「雨」2006/8/11

「記憶は雨に似ていた」と「樹魔」に書かれていた.

人間の子供は,ほぼ例外なくバビロニア語期を経て,現世の言葉をしゃべるようになる.

文字以前の感情を表現するのは健康に良い.


「Babylonian Letter #1」,1980年代.


投稿者: 由

「閑良」2006/8/11 

およそ働いているのを見たことがなく

夏の日照る地面に石を置いて売っていた

川にあきると島に帰り

海にあきると絵を描いて眠る


閑良は記憶を創り

記憶を売る

失われた詩の中の麦を刈り

食べられないパンを焼く



「最後の商人」,1980年代.


投稿者: 由

「そう言えば」2006/8/11

二十歳の頃は現代美術を専攻していたのだった.

当時は毎日のように絵を描いて,オブジェを作っていた.

マックス・エルンストが一番好きだった.

これはその頃の作品で「Oh! Seastar!」.



投稿者: 由

2022年5月28日土曜日

「クロンボ踊り」2006/8/11

盆が近づいた.

故郷の大分県姫島では,8月15~17日に盛大な盆踊りがある.昔は14日から4日間だったのが,去年から3日間になったようだ,淋しい.

姫島盆踊りはいろんな種類の踊りがあるのが特徴で,室町時代くらいからあると言われている「あや踊り」「銭太鼓」「きつね踊り」などの「伝統踊り」の他に,村人が作り出した100種類以上の「創作踊り」があって,中には1年かぎりでおもしろくなくてやめたなんて踊りもある.「おしん」が流行った時は「おしん踊り」があったし,ロック・グループの「キッス踊り」なんかもあったが,今は踊られていない.

http://www.bonodori.net/zenkoku/himeshima/himeshima_TOP.HTML

これは昭和早期に作られた「クロンボ踊り」で現在も踊り継がれている.クロンボが「女」の腰蓑(スカート)をめくるという素晴らしい踊り.この踊りのアナーキーなパワーは現代も失われていなくて,まだ姫島は大丈夫.

こういうのを見て育つと,私のような立派な若者になれます.



2004年8月15日


投稿者: 由

「貝漫」2006/8/10 

今,発売中のマンガ週刊誌に,貝の漫画が載ってるので紹介.


ビッグコミック:築地魚河岸三代目:「アワビの十人十色?(後編)」:特にマダカアワビの資源の深刻な減少が語られている.それにしても,この漫画の取材はいつもすごい.


ビッグコミック スピリット:おいしんぼ:「恵みの貝 前編」:「桑名に行けば本物のハマグリを食べられます」とうことなのだが,後編が載るのは1ヵ月後のようだ.しかし,チョウセンハマグリを「日本で古くから親しまれてきたハマグリではありません」と言うのは,ハマグリ(Meretrix lusoria)を礼賛するためとは言え,どうかな.


と言うことで,小学館のマンガ週刊誌をよろしく! お中元,待ってます.


マンガ週刊誌と言えば「貝桁スピリッツ」とかを漁村文化協会(http://www.gyoson.or.jp/)に出して欲しいものです.


最近,写真をアップしてないのは,デジカメが壊れたためで,質屋に流したからではありません.新しいのを買おうと思ってますが,スマートメディアが無駄になりそうなので,スマートメディア仕様のいらないデジカメがある人は恵んで下さい.


投稿者: 由

「Johnny in the basement」2006/8/9

8月8~9日,高円寺~阿佐ヶ谷~荻窪~吉祥寺~藤沢.「大将」で焼鳥を食べ,「グッドマン」で歌って,「Route 58」で素敵な淳子さんに再会できた,七福神のイカのルイベを食べ,「8039」で日本人が英語を使うことにうんざりし,政治を語る不毛さが彼らは好きだ,政治は語るものではなくするものだよ,優しいインド人は去り,飲み屋で劇場が終わる,まずいラーメンを食べ,荻窪で眠り,朝ただ歩くのが好きだ,「松屋」で今日を戦うために下を向いて男たちが食べる,ネットカフェで内田春菊を読み,質屋に行って利子を払う,カメラは流してしまえ,セイウチに歌わせろ,黄色い傘をさし,駅で雑誌とサンドイッチを買い,死体になってグリーン車に乗り込む,ジョニーは地下で薬を混ぜ,マギーは足早にやって来る,新聞を読め,8月15日にアソコで会おう,女の股より男で湿ってるアソコだよ,人生劇場に円を払うな,燃えてるドルのエデンで会おう,神は66年の出張だ,聖典を燃やせ,肉しか食うな.


内田春菊さんのライブを見たのは,1990年頃の荻窪のグッドマンだった.大久保さんのドラムの音がいかったなあ.春菊さんのMCとミニスカートとハイヒールがとても可愛かった.


君は可愛いい とっても可愛いい

ヒールが丘を蹴っとばす時

谷底に笑いが消えていく時

愛より速く 愛より速く


てな歌を作っていた.


投稿者: 由

「まーぱい」2006/8/8 

「まーぱい」というのは真南風なんですね.

http://www.janjan.jp/culture/0307024628/1.php


投稿者: 由

「ライブ情報」2006/8/8 

敬愛する西表の民謡歌手・石垣金星さんのライブがあります.

ただ,「金星」「花」という二つの台風が沖縄方面に向かっているので,予定通りライブが開かれるかどうか微妙です.

金星さん,金星さんを通して下さいね.


8月11日,午後7時~:横浜中華街「シルクロード舞踏館」で真砂・遠藤・金星の「まーパイライブ」

13日,午後7時~:葉山一色海岸「ブルームーン」でまーぱいライブ.


投稿者: 由

「マリアが来るよ」2006/8/7

9日から,天草方面に出張の予定だったが,マリア,サオマイ(金星),ボーファ(花)といった台風家族がどどっと来ているので,中止になった.

そうだ,サオマイのおかげで,石垣金星さんのライブに行けるかもしれない.

投稿者: 由

「明日ライブ」2006/8/7  

かようなわけで,明日ライブがあります.

荻窪にあったグッドマンが高円寺に引っ越して,さらに狭い店になったということで,とても狭いかもしれません.


●8月8日(火)「オン・ザ・道草アゲイン vol.54」チラシマップ↓↓

http://www.ne.jp/asahi/chika/on/chilashi2.htm

高円寺グッドマンにて PM8時~(open7時半)

1700円(ドリンク付)

出演・●青木タカオ(vo.g)with志村貴彦(パーカッシヨン)・●山下由(vo.g)with後藤勇(コントラバス)、●ゲスト 腐葉土の園(ナガオマサト)


投稿者: 由

「閑良舞」2006/8/5

統一マダン東京では,金美福舞踊研究所の方々の韓国の踊りが素晴らしかった.


【閑良舞】

"閑良"とは、朝鮮時代の武官試験に合格できなかった両班(やんばん)たちを指す言葉です。

この舞は、乱れた世間を少々離れて山に入り、覚悟を新たに精神を鍛えるという心情を表現した男性の舞です。


日本ではインドネシアやインドの踊りよりも,隣の国・韓国のこういう素晴らしい芸能の方が知られていないように感じる.

あまりにも素晴らしかったんですが,韓国の人たちの「個人」の健全さと強さ・美しさにいつも驚かされる.


統一マダンに誘ってくれたゴトーさんに感謝.韓国舞踊は要チェック.


投稿者: 由

「バビロン」2006/7/31 

7月29日,御徒町の「吉池」鮮魚館で,バイがバイされていたので購入.

バイ Babylonia japonicaは,日本~韓国南岸に分布するバイ科の巻貝で,昔はベーゴマ(バイゴマ)の原材料だった普通種である.

スズ化合物によるインポセックスにより,日本各地で激減した絶滅危惧種だが,TBT(トリブチルスズ)等の規制により,外洋に面した海域では復活傾向にある.

「吉池」では600円/9個で大きい個体が売られていて,これは安い!ので即買い.

クロバイ・本バイと呼ばれる高級珍味で,現在は例えば,100g=2~3個で420円という相場.

http://item.rakuten.co.jp/syun-sakana/c/0000000128/

買ったバイを腹足孔で雌雄を判別した結果,肉抜きできたものでは雌2個体・雄4個体で,雌に擬陰茎は認められなかったが,雄の陰茎は全て矮小だった.

内湾域での個体群の復活は遅れており,瀬戸内海西部では,私の知る限り10年以上,バイの生息記録はなかったが,今年になって「水辺に遊ぶ会」によって大分県中津市で生息が確認された.

2006年5月3日,中津市,田中さんのカニ篭で採取:「水辺に遊ぶ会」提供.


投稿者: 由

 管理人より特別投稿。 山下由の歌「美しい時間を見た」を、 友人の、とっちゃんが歌ったテイクをYouTubeにアップしました。(字幕付) 「美しい時間を見た」とっちゃん https://youtu.be/xPaUdogemfM?si=ubO0iGAcmOR4w_i4 サポートは、...