そして,唐津に着いて,某中学校の理科室で標本の整理をし,「せっかくだから」と教頭先生に勧められて,一年生たちに貝と生物多様性の話を15分ほどして,話が終わると授業中の教室の後ろでまた標本の整理.
授業を邪魔しないように,深海の蟹のように,貝に見とれたりして,いろんなことを考えて,かさかさ動く.
夕方になると,居酒屋「海」に出かける.
友人がこのようなものを注文する.
玄海地方は21世紀になっても,こういうものを食べている野蛮の地なのだ.
「シー・シェパードに画像を送っちゃる」とか言いながら,証拠を残さないようにきれいに食べる.
昔,「うぉ~う おうおう 松浦漬!」という強力な歌が九州のテレビでは流れていた.もうすぐ国際放送禁止になるんじゃないかと思う.
あまりにも陽気なメロディで,鯨を食べることをこれほど能天気に讃美した歌は,エスキモーの世界にもないんじゃないだろうか.
日本に生まれて,ちょっと恥ずかしい.
日本人は今や「世界一野蛮な民族」になろうとしている.
もちろんそれは,鯨やイルカといった「ほぼ人間に等しい」友人たちを,未だに竜田揚げや佃煮にして食べているからに他ならない.「最後の食人種」というわけだ.
しかし西欧人は,日本人が鯨や鮪といった「地球上で一番大きなものを食べること」で,食物連鎖の頂点に立とうとしている大いなる野望を見逃しているのではないだろうか.この点に気付いたなら,アメリカン・ドリームがいかにちっぽけなものか,多くの地球市民は愕然とするに違いない.
一昔前までは,ニューギニアの先住民が,地球の食物連鎖の頂点に立っていた.
彼らは,赤道を越えて人殺しに来た日本人を食べ,「Japan as no. 1,日本人の肉が一番繊細でうまい! 白人の肉は大味で食えたもんじゃない」と太鼓判を押していたのだ(これは本当の話らしい).
当時の日本人は鯨肉をたっぷり食べていたので,プロの食人種であるニューギニア人たちは結果的に地球の食物連鎖の頂点に立ち,偏りのない食生活を送っていた日本人の肉の味を堪能し絶賛し,至福の時を過ごしたようだ.
この先,いったい誰が,食物連鎖の頂点に立つのだろうか.
私の良き友・エスキモーのクインは,ある日,こう言ったものだ.
「神様の肉が,もう少しおいしくて食べるに値するものだったら,あの可愛い鯨やイルカの肉を食べようなんて,きっと思いもしなかったわ」
地球上で一番大きいのは,鯨か神か?
投稿者: 由
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