2022年7月8日金曜日

「グブリーサビラの冒険」2010/3/2

コザの中之町に生まれた男の子の物語です。


五人兄弟の末っ子で,生まれる時に,臍の緒で首をしめて一度死にましたが,産婆さんにひっぱたかれて,この世に戻ってきました。

一度死んだので,その名前をグブリーサビラといいます。


グブリーサビラは夢を見るのが好きで,一日中眠っておりました。

眠っていない時は,グスク(城)まで,片昼かけて歩いて行って,丘の上から,海を眺めていたものです。

川の水が海に混ざっていくのを,丘の上から,よく眺めたものです。

グブリーサビラは言いました。

「さようなら」


グブリーサビラは幼稚園にも学校にも行かず,中之町でいたずらをして,遊んでばかりおりました。

夕方になると,お姉さんたちが仕事に出かけてきます。

ねーねーたちはいつも,グブリーサビラに「うきみそーちー(おはよう)」と声をかけます。

酒場の扉が閉まると,グブリーサビラは言いました。

「さようなら」


コザから自転車で下っていくと,泡瀬の海があって,グブリーサビラはいつもそこに行って,貝や魚と喋っていました。

夕暮れになると,キジムンも「コメツキガニの浜」からやってきて,グブリーサビラと喋るのでした。

豚小屋の神様の話,家族の思い出,戦争のこと,もあしびーのロマンス,キジムンはいろんな話を,グブリーサビラに聞かせるのでした。

タマンやアバサーも,波打ち際に寄って来て,グブリーサビラとキジムンの話に加わります。

南十字星がやってきて,夜もとっぷりと暮れて,母親も心配している時刻です。

貝と魚とキジムンと星に,グブリーサビラは言いました。

「さようなら」


さてまた,どこかで,この物語の続きが読めるでしょう。

グブリーサビラは言いました。

「ゆくいみそーれ」





投稿者: 由

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