病んだ言葉のスケッチ
いつまでたっても僕は
なにも捨てることができなかった
鉄橋の下を貨物列車が走り
セイタカアワダチソウもブタクサも悲しんでいる午後に
凍った指輪を窓辺に忘れ
雪のように白い背中を去っていく光を
ぼんやりと眺めていた
海では盗賊が宝石に埋まり
鴎は歌声を切り裂いて旗にした
海星(ヒトデ)の五角形の夢のように
砂は砂の上を歩き
声を母としたものだけが
故郷に残った
いつまでたっても僕は
なにも捨てることができなかった
言葉は木の葉のように病んで
病んだ言葉を繕っていると
また夜が明ける
真新しい自分の死体を起こし
今日も散歩に連れ出す
2014/06/10
投稿者: yuu
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