機械と俺の亡霊
船に乗って
銀行の川をめざす
ルイ・アームストロングが
胃袋の鰐としゃべっている町で
俺と俺の亡霊
魂をつかまえて説得する
花嫁が昇る螺旋階段で
薔薇の紙幣を抱いて
女のような夕焼けを見る
そこには距離がない
友達がいない男のように
浜辺の丘に立っている
ポンプの中には幸福があって
その蒸気で言葉を焼いて食べる
結婚がしたいんだ 旅行がしたいんだ
切符を買ってくれ
そこにいてくれ
からっぽになった恋の中で
記念撮影をしよう
子供だった世界の帆船が
卵の北回帰線を縦に割る
誕生日の前日に冬の街角で
ユニコーンの毛皮を着て
どこにも到着していない
幽閉も故郷もないカナリアが
大西洋の上で眠る
地面に書いた論文
アルチュール・クラバンに殴られた思い出
鈴も笛も山頂に登る
夜明けも夜更けも霞んで見える
僧侶がたったひとりの女神に
小鳥のように抱かれている
心臓に名前をつけよう
それから煙草に火をつける
原子的な利子のついた過去へ
川の下流の街へ
そこではミイラが安売りされ
とんがった寿司の靴を
狼が履いている
出口は燃えているだろうが
心配はいらない
入口はたくさんあり
カケスのように音は不変なのだから
ドレミもダダダも分からない
理解とは廊下なのだから
聞き取る必要がないのだ
明日の朝 帰っておいで
ダダの故郷で
太陽のビーズで遊ぼう
29 November 2015
25 December 2015
投稿者: yuu
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