戸川純さんの有名な歌に「電車でGO!」というのがある.また,石川浩司のあまり有名でない歌に「全裸でGO!」というのがあって,どちらも名曲である.私は「田螺でGO!」という歌を作ろうと思って久しいが,まだ完成していない.田螺を「たにし」と読まず「でんら」と読むのがチョーうけるんだけど,こういうのが自分以外にうけたことはあまりない.芸術家は何事も自分にうけるのを先ず一として,孤独な道を歩まなければならないのである.
全裸はともかく,夏の男は家では半裸というのは昔はあたり前だった.さるまたやステテコ一丁で,スイカを切るために包丁を持ってうろうろしたり,ごろごろする.
自分も今年から室内では積極的に半裸でクールビズを励行している.大切なのは客が来ても必ず半裸で対応すること.これは日本の半裸の思想的な柱なので,必ず守らなければならない.腹が出ていようと,臍が黒かろうと,醜さをここちよく世間にさらす男らしさ.
しかし,醜さをここちよくさらしていると,立場を保証された醜さは増長していくようだ.この夏,太った腹を隠さないどころか突き出して見せたりして半裸で過ごしていたら,腹がどんどん出てきた.太っているのが恥ずかしいと思う心が肥満を抑制していたらしい.自己嫌悪というのはとてもエネルギーを使うので,年をとると出来なくなる.そうやって,思想は年を重ねるごとに,面倒臭いものを放棄して洗練され,最後は石ころのようになるのである.
私の住んでいる湘南では,海が近いので,コンビニなどにもサーファー系の若者が半裸で出入りしている.もちろん,この場合の半裸は醜さの対極にあるもので,腹は出てないし腹筋バキバキで,美的にも社会的にも何の価値もないものである.
やはり口元が思わずゆるむようなマルタニシ的体型が,優しい日本を作っていくのではないだろうか.
投稿者: 由
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