2022年6月12日日曜日

「魔女は通り過ぎて 死は月よりも軽い」2007/12/7

諫早干潟の生態系の価値が,かつて社会的にも科学的にも,充分に認められなかったように,泡瀬の生態系の価値も人々に理解されないまま,土の下に葬られようとしている.

現在埋立てられている第一工区の浅海域での底生生物の調査は1ヶ所での採泥調査しか行われていない.私はそれを那覇地裁での泡瀬裁判の証言で「バケツ一杯分の泥しか,調べていない」と表現した.この喩えが,正しかったかどうかは,環境影響評価書を見ても調査方法の詳細が記されていないので,分からない.バケツ一杯分もなかったかも知れないとも思っている.多く見積もっても,一季節でバケツ二杯分はないんじゃないだろうか.いずれにしても,第一工区の約90haの浅海域で底生生物調査は1ヶ所で泥が取られただけで,定性調査もなし.埋立が最初に行われる,この重要な海域での,あまりにも杜撰な調査.こんな環境影響評価書が,認可されること自体,どうかしている.当時の専門家たちは,何故こんなものを許したのだろうか.そして,生態系のことを何も知らないに等しい行政に,そして専門家の意見を理解できず無視することしかできない行政に,生態系を裁く(破壊する)権利があること自体が問題なのだ.善良な漁民もまた優れた専門家であると言えば,この話が理解されるだろうか.

海草藻場の保全,トカゲハゼ,クビレミドロの保全,新種・貴重種の保全,113種の希少野生動物種の保全,全てに「環境に対する十分な配慮」が成されないまま,工事は進められている.

第二工区の埋立をやめても,クビレミドロの生息環境が保全される保証はまるでない.第一工区の埋立面積や形状は,真剣に再検討されるべきなのだ.

新種や未記載種,113種の希少野生動物種は「埋立地の外にも分布しているので,保全される」という話だ.生物学的には絵空事だが,そんな一行で工事は推進され,埋立推進派の多くの人々は,それを信じ込んでいる.

世界はあまりにも非生物学的で,人間はいつまでたっても生物の列に加わろうとしない.

この魚はまずいとか二度と言うなよ.

諫早や泡瀬を埋立てる日本人に,魚を食う権利があるのか?


投稿者: 由

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