2022年6月3日金曜日

「牡蠣床」2007/3/26 

カキ礁は日本では,北海道の厚岸にかつて存在したものが有名だが,有明海にも多くのカキ礁がある.写真は2003年6月に,Mark Luckenbach, Ryan Carnegie(Virginia Institute of Marine Science)さんらと調査に行った佐賀県鹿島市沖のカキ礁である.非常に多くのカキ礁(カキの島)があって,カキ床と呼ばれ漁場として管理・利用されている.このカキ礁はMarkさんらのmt16Sの分析によって,マガキ・シカメガキ・スミノエガキが混在する集団であることが分かった.カキ礁の中央部ではシカメガキ・マガキが優占していて,カキ礁の外側に多い大きい個体はスミノエガキだった.これら3種を厳密に殻で区別するのは,殆ど困難である.ところが,漁師さんが「これはヒラガキ(スミノエガキ)だ」と言った複数の個体は,遺伝子の分析で本当にスミノエガキだった! それは典型的なスミノエガキではなくて,マガキのやや大きな個体にしか私には見えなかったので,とても驚いた.スミノエガキが殻の成長が早いことは,水産学上よく知られているが,そのことも現場の体験として,漁師さんは知っていた.

このカキ床は多くの海域を占有するため,竹ハゼなどの有明海の伝統漁業と同様,漁業権の新規獲得や他者への譲渡が認められておらず,今後失われていくかもしれない.

カキ礁が漁業に利用されている,現在の日本で唯一の場所が,この鹿島市沖である.

茶色いジャンパーがMark Luckenbachさん.4月のシンポジウムに来日します.


投稿者: 由

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