「シマウマの縞 日の丸の赤」2007/8/11

さて，シマウマが「白地に黒い縞なのか，黒地に白い縞なのか」という問題は，実は科学的には決着が着いていないらしい（ショーン・B・キャロル，2007：シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源．http://www.amazon.co.jp/Endless-Forms-Most-Beautiful-Science/dp/0393327795）．S. J. Gouldがずいぶん前に「シマウマは黒地に白」と明快に結論したのに対して，「いやいや，ちょっと待てよ」という話になったのだ．

しかしこの問題は，競馬や馬をよく知るものなら，かなり容易に解決できる．馬の中でも，かなり上等に進化したサラブレッドの中に，白馬と黒馬が，しばしば見られることを考えるならば，シマウマとは「白地に黒，もしくは黒地に白」の動物であると結論付けられる．「白地に黒のシマウマ」と「黒地に白のシマウマ」が交雑した場合，これは当然のことながら，白一色もしくは黒一色の馬が生まれる．これらは，分かりにくいが，遺伝的・機能的に異なる同色を配した明らかな「シマウマ」である．白馬や黒馬は，このような一見模様のないシマウマから進化したものであり，現在も分かりにくいだけで実は縞模様なのである．

このように，白馬と黒馬の存在から帰納的に考えると，シマウマは「白地に黒，もしくは黒地に白」の動物であることが明らかであり，どちらかに決めようとすること自体に人間が好む決定論（二者択一）の感情的な落とし穴があると云えるだろう．現在，アフリカに生息しているシマウマの縞が普通に維持されているのは，「白地に黒」と「黒地に白」の個体群が隔離されているか，どちらかの系統が滅びた可能性も考えられる．ちなみに，チェックの模様のふざけたシマウマが出現しなかったことは，彼らがSEXの体位を慎重に守り続けて来たからだろうと考えられている．

こうしたことから，白人と黒人も，白黒の模様を持った縞人（シマンチュ）から進化したと考えられる．恐らく，直立原人には白黒の縞模様の系統が存在したはずである．縞模様はイシダイ，ウマ，ネコなど動物界に普遍的に存在するデザインで，人類の祖先に縞模様がなかったというのは，むしろ不自然ではないだろうか．

地色と言うのは非常に重要な問題である．白人と黒人が，白と黒のどっちが地色かという議論を始めたら，国際紛争になるに違いない．どちらかを地色に決定すると，片方は地色を失うことになる．地色がないということは，目に見えないこと，存在しないことを意味するので，この議論は歴史上避けて通ることが慣例になってきた．すなわち「アダムとイブは，白人だったのか黒人だったのか」という宗教的な議論であるが，現在では「アダムとイブは，白黒の縞模様であった」という公平な学説にローマ法王庁も傾きつつあるようだ．

ちなみに，黄色人種・赤色人種などは，白人・黒人などの縞人を起源とする種とは全く別の系統から進化したと考えられている．白人・黒人が単純で，何事にも白黒をはっきりつけたがるのに対して，黄色人種・赤色人種はより高度な抽象的思考を使用することから，脳生理学的にもこれらは種として区別されると考えられるようになってきた．

地色の重要さを理解する上で，「日の丸」という唄は重要である．

白地に赤く

日の丸染めて

ああ美しや

日本の旗は

（作詞：高野辰之）

この歌では，日の丸とは「白地に赤」であると明確に表現されている．国旗の地色について，これほど明確に定義された例が他にあるだろうか．フランスやアメリカの旗を見ると，地色が何なのかさっぱり分からない．それでは，国民のアイデンティティはどうなるのだろうか．日の丸は，世界で唯一，地色が明確に定義された国旗であり，地色への苦悩や煩悩を払拭しきった素晴らしい国旗なのである．

1999年には国旗国歌法が成立し，その規定によれば「旗の形は縦が横の3分の2の長方形．日章の直径は縦の5分の3で中心は旗の中心．色は地は白色，日章は紅色」であり，日の丸は地色が白であることを不動のものとした．

日の丸には戦争・帝国主義のイメージがあり，国旗にふさわしくないという立場の人も多数存在し，またその掲揚の強制も問題視されている．そうした状況の中で，「日章の紅色が地色で，白い隈取りがある」という「裏日章旗」が開発されている．これは，赤い旗を部分的に白く染めるという高度な技術を用いて，東京都教職員組合の有志によって開発されたものである．東京都の学校で掲揚されている日章旗の60%が既に，裏日章旗にすりかえられているという．これは国旗国歌法が定める「色は地は白色」に真正に違反するものであり，極めて気の利いた国家転覆の犯罪といえるであろう．

投稿者: 由