メディスン・マンは,万人がメディスン・マンであり神であり魔法使いであることを知っている。
人間は,日常的に奇跡を行っている。
彼女が汲んでくれた水には,彼女の優しい匂いがする。
彼女が布団をひいてくれれば,それだけでぐっすり眠れる。
全ての言葉には,音という愛が働いている。
優しさを込めることが,メディスン(癒し)だ。
メディスンは,最後には,どんな悪意にも負けない。
なぜなら,何にもないところから,全てが始まっているから。
キリストは,どんな奇跡でも人間が行えることを示した。
水をワインに変えることも,海をふたつに割ることも,御飯のおかわりをついであげることと同じだ。
ややこしい奇跡や魔法を行うより,大切なことはいっぱいある。
私たちは,神になる必要は,全くない。
なぜなら,神の御分魂(みわけたま)であるのだから。
世界は,一滴の水のように,奇跡と詩で満ちている。
*ピッツバーグ出身の若者,ジョーがやって来て,不安そうにこう言った。
「僕たち,大丈夫ですよね」
「若者よ,この地球へようこそ」
私は答えた。
「夏は暑く,冬は寒い。地球は丸く,水も人間も豊富だ。ジョー,ここでの寿命は,たかだか百年くらいじゃないか。私が知っている決まりはたったひとつだ。ジョー,人に優しくしろ」
(*「国のない男」:カート・ヴォネガット;金原瑞人訳)
投稿者: 由
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