そんなわけで,今年も貝類学会大会が終わった。
大会のハイライトは,なんと言っても懇親会で行われる「貝の抽選会」で,くじ引きで貝が当たるという年に一度の神聖な行事なのである。この行事がなければ,大会への参加者は1/3になるだろうと云われている。
日頃は不摂生と罰当たりを繰り返している貝屋も,学会の前・10日間は,殺生を控え,毎朝・仏壇の前に座して瞑目し,「今年こそ,くじに当たりますように」と祈ると云われている。
くじを引く神事を司るのは,もちろん貝類学会会長その人であり,この「貝のくじを引く行為」こそ,全国の貝屋を歓喜と絶望の狭間に思いのままに操る,日本の軟体動物学の最高権力者に与えられた最大の権利なのである。
もちろん学会では,この「くじを引く権利」を巡って,絶えず生臭い争いが続いている。
今年のくじ引きのハイライトは,沖縄の著名な貝屋にシャゴウが当たったことだろう。それはそれは,凡庸な色と形をして大きく,明らかに荷物にしかならないような素晴らしいものだった。
神の見えざる手を深く感じさせられた。
投稿者: 由
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