さて、いよいよ、明日・6月4日は「虫の日」で、阿佐ヶ谷で「食虫大学 研究発表会」が開催される。
「虫は見るのも嫌!」という人も多い現代にあって、「虫を食べよう!」という豪気なパーティーなので、この機会に好き嫌いを直して欲しい。
明日は「貝の話もちょっと御願いします」ということで、貝の話もしようと思うんだけど、昆虫と貝の共通点って、ちょっと難しいなあと思って、「でんでん虫」の話でもするかな。
よくこう、フィールドとか教室で、貝の講義をしていて、いろいろと学術的な話もするんだけど、最後に来るのがだいたい「で、その貝は食べられますか?」とか「毒があって、食べられない貝を教えて下さい」という質問で、何も聞いちゃいねえ!、やっぱりそれが人類にとって一番大切なことなのかと、まあちょっと落胆することはあるよね。
ところが、昆虫だとそういうことはあまりないわけで、オサムシの分類や生態の話をしたあげくに、「刺身と天ぷらでは、どっちがおいしいですか?」という質問が来ることは、めったにないと思う。つまり、食欲があまり介在しないという点においては、昆虫学は純粋生物学として、ちょっと幸福な立場にあるといえるだろう。同じ節足動物で、よく似たやつらである甲殻類とは大違いで、エビ・カニになった途端に、人々の興味は一気にお食事に変化する。その証拠に、甲殻類学会の懇親会では、大手水産会社がバックアップして、エビ・カニが食べ放題で、湿った手で握手を交わし、会話は殆どないが、大いに盛り上がっているのだ。しかし、昆虫学会で「クワガタを食べ過ぎて胃壁が破れちゃったよ」というような楽しい話は、あまり聞いたことがない。
こうした状況の中で、「昆虫に食欲を感じる人材の育成」を目標に創立された食虫大学は、人類の価値観と文化に大いなる挑戦を行っているといえるだろう。
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