11月30日,西表島白浜.
仲良川(ナーラカーラ)最下流で,宅地造成が行われていて,唖然とした.
ここは,この川の河口域の入り口で,ここから仲良川!という自然度の高い海岸だった.ここには小さい川も流入していて,西表では珍しい泥干潟の環境があり,沖縄県レッドデータブックに登載された生物も生息していた.
下の写真に映っているマングローブでは,2004年の岡山大学の調査で,未記載種のヤイマカチドキシタダミも発見されている.
この場所は私有地であり,東京の不動産会社が開発したようだが,地元の殆どの人が知らされておらず批判が出て,事後説明会が開かれた.
生態系の破壊という以前に,地元住民の共有財産である自然環境や愛着のある景観への配慮が欠落していることが問題視される.小学校の裏であることも考えれば,住民生活・感情への配慮は,とても大切である.
生態系保全の観点からは,こうした「小さな」自然環境の改変は,西表の自然に集積的に大きなインパクトをもたらしつつある.
西表への移住,ホテルや住宅の建設は加速度的に進行しており,自然へのダメージが増加している.
西表のような原生的自然環境が残されている場所では,開発のダメージへの予防策を充分に整備する必要がある.
自然環境の改変を伴う恐れのある事業については,小規模でもアセスメントを義務づけることや,廃水については(共同)浄化槽を整備するなどの対策が必要である.
これらの対策は,県や町レベルでの条例整備が有効ではないかと考えられる.
また,環境省や県がそれぞれの「自然保護区域」に対して,保全指導をする権限の強化が必要ではないだろうか.
前ブログでのコメント
返信削除投稿者:山下由2006/12/16 7:03
和田さん,私は本当に呆然としてしまいました.
KN氏,そこにはポンダー先生が記載した,その沼に固有の貝がいたのかも知れませんねえ.
投稿者:KN2006/12/15 9:36
山下氏、
お久しぶり。
豪州で2,3年前に起こったことを思い出しました。クイーンズランド州(だったか)の田舎町でビル建設予定地内にクリーク(沼かな?)があり、そのクリークに非常に珍しい生き物が住んでいたのだそうです。で、町の人たちがそのクリークで座り込み。あの戦いどうなったのかなぁ?
投稿者:和田太一2006/12/10 21:16
白浜のこの場所は私も今年の6月に訪れて、とても素晴らしい海岸で感動して、船浦からレンタサイクルで2日連続で観察に行った場所でした。次に行く時にも絶対見に行こうと思っていた場所なので、宅地造成はとてもショックです。
小学校の裏に自転車止めて、小さな湿地にカメラ片手に泥まみれになって入っていく、ミナミトビハゼとシモフリシオマネキに囲まれて過ごした時間は、貴重な体験でした。