とか「クーデターだ!」とか「国民に銃口を向けた」とか,いろいろ言われていますが,その通りです.
防衛省が辺野古・大浦湾の環境現況調査(事前調査)に自衛隊を投入した事件.実際に現場海域で自衛隊が「有事」を発生せしめた5月18日は,日本にとって歴史的な日付になるだろう.
何が起こったかというと,海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」からボートでやってきた自衛隊のダイバーたちが,サンゴ産卵観察のための着床板を取り付けるという不測の事態が起きたわけで,この海上自衛隊による「サンゴの産卵を調べよう大作戦」は,20日にはひとまず終わったらしい.
辺野古では,この環境現況調査と基地建設に対して住民・市民たちの座り込みやカヌーでの「平和的抗議」が続いていて,それに警察でも海上保安庁でもなく(それらはもうとっくに出動済みで今回も出動している),自衛隊がついに拳を上げたというのが今回の事件.
国民の生活と安全を守るはずのための自衛隊が,市民の平和的抗議行動を,あの圧倒的な軍事力で弾圧に出たのが今回の事件.それでこれは「天安門事件」とまるで同じと高く評価されている.自衛隊がついに,国民に銃口を向けた,内戦だ,クーデターだ,というのは冗談ではなくて本当だ.
憲法や法律に違反してるんじゃないか,と言うのはすぐに思い浮かぶが,とにかく法的根拠が明らかでないまま,沖縄に派兵が行われ,国民への示威行動が行われたのだ.
しかし,サンゴの産卵を調べるために自衛隊が出動!というのは,すごいことだ.日本は軍事力を投入するほどの環境問題先進国であり,お国の海洋生物学のためには撃ちてし止まんというわけだ.
とにかく,戦後初のクーデターは,海洋生物学と環境問題を巡っておきたのである.昔の「良心的」科学信奉者たちが信じていた「科学に政治を持ち込まないように」などというのは,もはや本当に寝言もいいとこだ.いったいどこのアセス会社が,この民主主義を踏み躙ったきなくさいデータを分析するんだろう.正直に手をあげなさい.
この環境現況調査そのものが環境行政上,異常だということは,毎日新聞記事が的確に表現している.
「基地建設など、環境に影響する可能性がある事業の実施手順は本来、環境影響評価(アセスメント)を実施し、住民や自治体の首長から意見を聴取して事業計画を作る。しかし、沖縄県が政府が進める移設案(沿岸案)の修正を求めているため、防衛省は環境アセスの手続きを始めても県の協力が得られないと判断。調査海域を沿岸案より広い海域に設定して、得られたデータを環境アセスに組み入れる方針。市民団体はこうした手法についても「環境アセス法違反」と批判している。【三森輝久】」
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070518k0000e010034000c.html
世界自然保護基金ジャパンは「環境影響評価法に対する防衛省の不法行為に強く抗議する」として意見書を発表している.
http://www.wwf.or.jp/news/press/2007/p07051401.htm
この不法行為と,民主主義の破壊については,
http://d.hatena.ne.jp/artane/20070519
など,様々な記事があるが,歴史的事件として,この先,どのように社会化されていくかが問題である.
投稿者: 由
前ブログでのコメント
返信削除投稿者:モモノハナ2007/5/23 10:39
辺野古に基地は要らないといっている人がテロリスト扱いされているように感じましたが、ナルホド、クーデターか。確かに。
それにしても、またやってくれました。調査に来て、破壊。いい加減にしてほしい。
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設置機器でサンゴ損傷/辺野古調査(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705221300_02.html