5月6日,広島県の山奥,西中国山地の細見谷へ初めて行った.
素晴らしい森と渓流.
ここでは「緑資源機構」による,大規模林道の計画があって,一部ではもう工事が始っている.この林道舗装・拡幅計画は,聞けば聞くほど知れば知るほど必然性がなくて,「緑資源機構の天下り官僚機構を維持するための事業」という噂通りの事業だと唸らされる.素晴らしい森と渓流を破壊しようとする「緑資源機構」という特別行政法人のいかした名前に唸らされる.
現地の自然を見れば,それが現代の日本でいかに貴重で,大規模林道によってこの自然を撹乱すべきでないということは,すぐに分かる.
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/hosomidani.htm
中国山地にはいくつもの主要道路があって,この林道整備の必要性は低いし,なんと言っても林道維持の莫大な経費は地元自治体に回ってくる.それでも,地元議会は林道拡張に圧倒的賛成多数らしい.議員というのは,地元民や子孫のことを考えない人間に与えられる職業なのか.
そういう人間に血税で賃金を払う日本の社会ってのはすごいぜ,御機嫌だぜ.殆どの人が死ぬような思いで真面目に働いて,なんとか金を稼いで貯めて,それで最終的には日本や当該地域を代表する人間のクズに一票を入れ,税金を献上するのだ.アベちゃんとかシンタローとか,思い出すだけで「同じ日本人と思わないで下さい~」というような素晴らしい人たちに,海で山で農地で工場で働いた汗水の結晶である税金をゴミのようくれてやってるわけだ.ああ寒い.それはまあ,社会の政治的思想の貧しさの問題だ.日本では,知識や学術を身につける教育はされていても,政治的思想だけは身につけないように社会のシステムができている.まったく美しい日本だ.
それでまあ,こんなに必然性のない「公共工事」ってのは,久しぶりに見た.唯一の必然性は「緑資源機構の天下り官僚機構を維持するため」もしくは「地元の一部有力者の利権」くらいしか考えられない.それならそうと,「安泰な老後を送りたい」とか「おいしい汁を吸いたい」とか言ったらいいではないか.その方がよっぽど,万人の共感が得られようというものだ.
細見谷で感動したのは,舗装されていない道路だ.今時は,こんな田舎の果ての山奥の果て(ほめ言葉です)まで来ないと砂利道がない.山のように水溜りがあって,そこにはヒキガエルが卵を産んでいる.もちろん車で楽には走れない素晴らしい道路だ.だいたい,どこでも舗装して走りやすくするから,最近の人間は偏差値ばかり高くて,現実への応用が効かないのだ.あの舗装道路という代物は「私の脳味噌はツルツルです」と言って自慢してるようなもんじゃないか.それは,石ころや動物に現実的に対応できない能力を開発する訓練学校みたいなものだ.非舗装道路は,人間の運動能力の育成にも優れているし,生態系の連続性を保つためにも優れている.これからは,自然再生・人間再生事業で,「舗装道路を壊そう! みんなで一日一歩運動」の時代だ.
そんなわけで,細見谷を舗装する必要はないと思うし,このワイルドな山道を残して,良いことはたくさんできると思う.Kさんは,麓での馬の放牧と,乗馬でのエコツアーを考えていた.細見谷周辺は素晴らしい観光地でもあるので,それは充分に実現性があるように私は感じる.
開発と自然保護の問題は,最終的には地元住民の意識とやる気の問題だ.投票所でxx党に投票するゾンビになるのではなくて,税金を民衆の生活のために取り戻す戦いを始めなければならない.
細見谷に暮らす動物の写真は
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/ikimono.htm
ツキノワグマがすげー!!
これだけの,両生類・爬虫類・哺乳類の現地写真があるというのは本当に驚異的なことで,金井塚先生の凄さに脱帽です.
細見谷開発問題の詳細は
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