「貝がいないなあ」とつぶやきながら,曲崎の先端に着くと,砂州の中に隔離された湿地があって,素晴らしい辺境貝類学のフィールドが広がっていた.
スペインの田舎道のようだが,ここはアンキアライン・プールで,大潮満潮の時に池が現れるらしい.
アマガイが優占種で,アマグリイロカワザンショウ?,チリハギが,かなり乾いた池底の石の間に生息する.
ハマサジの間にもアマガイが,アマグリイロカワザンショウ?やヤマトクビキレと共に生息.
調子に乗って,陸上への進化を目指し,夢破れた辺境性アマガイの強者たちの亡骸.頑張れ,もう少しでヤマキサゴだ.
このアマガイの個体群については,九州大学臨海実験所で,過去に詳しく研究されている.このアマガイ個体群は,海岸に生息する個体群より小型で黒色に殻形態が固定されており,アンキアライン・プールの中で世代交代が繰り返されているらしい.
この例から見ると,アンキアライン・プールは,一般的な汽水域と同様に,貝類の陸上への進化の舞台と成りうる可能性もあるんじゃないかなと言うことで,辺境生物学上,重要な生態系と見做される.
投稿者: 由




0 件のコメント:
コメントを投稿