それでね,CDを作ってるわけですよ.一枚,一枚,また一枚.
それでですね,世の中では機械任せなんてぇことを言って,CDなんて,シャーッって音がしたかと思ったら,次から次へできると思うでげしょ.ところがそうはいかないわけで,「書き込みに失敗しました」とかですね,デバイスがなんたらだとか,「今夜は暖ったけえなぁ,明日は雨かなぁ」なんてことを言っちゃあ,この機械畜生が怠けるわけですよ.10枚のCDを焼くのに,5枚が失敗したりして.
まあ,私も昔は「火の玉」と呼ばれた暴れん坊で,そんなことがあった日にゃあ,パソコンなんざ速攻で,揚げ過ぎた掻揚げみたいに,とっくの大昔にそこら中に飛び散ってたもんでございますが,もうなにせ大人ですからね,しかも貧乏と来た日には,この機械様を足蹴にするわけにもいかないわけです.
「藁にまみれてヨォ~ 育てた葦毛~」
なんて唄でも歌って,「この機械によろしく御願いします」なんて言いながらね,奴等の機嫌を取るわけです.
まあ私もこう見えて理系の人間で,マサチュー摂津甲殻類大学に親戚がいるくらいですから,機械にはちょっと詳しいわけです.「TVは叩いてもいいけど,パソコンは叩くな」「DVDプレーヤーは逆さに振ると良くなる」「ツバメが低く飛ぶ日は,プリンターを使うな」とか豊富な知識があるわけです.
とにかくうまくいかない時は,一度電源を切って,再起動して,それでも駄目なら神にすがるしかないわけです.殆ど夫婦生活と同じで,勘弁して欲しいですね.
しかしまあ,パソコンもね,人の子ですから,自分の心の葛藤とか,誰にも言えない悲しみがあるわけで,私は辛抱強く「お前がその気になる日まで待つよ」とか言いながら,ちょっと背中を向けたりするわけです.
でもまあ「機械に悪い人間はいない」と昔から言うように,根が単純な奴だからね,土下座したりしてるうちに機嫌を直しちゃうわけです.
「待ってました!」と,調子に乗って,5枚ばかり焼いてると,これがまた「いいかげんにしてよ!」と来るわけで,また再起動.
書き込みを始めると,3%,50%,75%あたりで,「もうだめだ~」「やってられるか!!」が来ることがあるので,そりゃもう必死です.一心に祈りを捧げてですね,棟方志功の形相で,魂の手でハードディスクのろくろを回すわけです.全宇宙とか銀河系とか借金とかバレリーナとかコーヒーカップとドーナツとか,回転しそうなあらゆるものを思い浮かべて,祈りを捧げるわけです.
それでやっと,20枚できた.
以前はゴトーさんが,CDを焼いてくれてて,その時は「一枚,一枚,手焼きの匠の業が光る」とか冗談を言ってたんだけど,それが冗談じゃなかったと云うのがよく分かりました.

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