昔々,日本にもたくさんの虎が住んでおりました.
虎は人間の良い仲間で,煙草の吸い方を教えてくれたり,野山で小鳥などを取っては人間に届けてくれました.夜は暖かい毛皮にくるんで,一緒に寝てくれたものです.
厳しい氷河期が来て,海で魚が採れなくなると,海辺に住む日本の人たちは,とても困りました.
氷河期も終わる頃,虎の王様がやってきて,こう言いました.
「私たちは,日本の海で暮らす人たちのために,贈り物をしようと思う.暖かい季節が来たら,あなたたちはその贈り物で,末永く暮らしていけるだろう」
そう言うと,虎たちは寒い大晦日の夜に海の方へ,ゆっくりと歩いていきました.
新しい春が来て,地球が暖かくなり,人々が貝を掘りに干潟へ出てゆくと,そこには見たこともない虎の模様をしたエビがたくさんいて,跳ねているのでした.
そのエビはとても美味しく,みんながエビのおかげで豊かな暮らしを送れるようになりました.
けれども,私たちの仲間であった虎は,みんな海に入ってエビに姿を変え,日本にはいなくなってしまったのです.
この虎が変身したエビは,クルマエビ(Penaeus japonicus: Japanese tiger prawn)のことだろうと云われています.瀬戸内海の島々では,お盆にクルマエビを食べ,虎と人が仲良く暮らしていた頃を懐かしみ,虎の魂に感謝を捧げます.また,クルマエビを食べると,虎のように勇気と優しさが湧いてくるといいます.
(大分県姫島村の民話:語り部 山下由作)
さて,そんなわけで,新しいCDには「エビに急用(I have urgent business with shrimps)」という曲も入っている.これは,Robert Johnsonの「死んだ小蝦のブルース(Dead Shrimp Blues)」(1936年11月27日,テキサス州サンアントニオで録音)以来の,エビを主題としたポピュラー・ミュージックだという評判だ.
エビについての歌は,世界中で不足している.
歌詞はこちら
http://www.ne.jp/asahi/chika/on/y_songs-03.htm#Anchor5912101
演奏はこちらで,少しだけ聴けます.
http://gotoisamu.ld.infoseek.co.jp/you.htm
I have urgent business with shrimpsのplayをクリック.
次回は「エビはなぜ 十二支に入れなかったか」です.お楽しみに.
投稿者: 由
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