ドルジ(朝青龍)が引退したね。
これでもう,相撲を見る楽しみはなくなったなあ。
今回の事件は,誰が怪我をしたのか,どのくらい怪我をしたのかも,よく分からなくて,示談にしても何にしても,それが相撲界の闇そのものみたいだったけど,とにかく暴力はいかんというのが世の中の常識であり掟らしい。そんなら,相撲なんてどつきあいの暴力は,そもそもやめたらどうですかね。
ドルジの最大の魅力は,その正直な人間性で,「勝負には負けないぜ,気に食わない奴はぶっとばすぜ」だったと思う。国技として飼い馴らされ形骸化しつつある相撲という「スポーツ」に,格闘技本来の力を呼び戻し,相撲の活力を現代に蘇生させたドルジを,日本人は葬った。ドルジの強さ,勇気と元気,素直さと悪ガキのような子供っぽさ,こうした素晴らしい贈り物を長年享受しながら,日本人は最後にはそれを裏切った。けっこうなことだ,茶の間でチャンネルを変えて,新しいヒーローを探し,またそいつの欠点とスキャンダルを探せばいいだけのことよ。
そもそもこれは個人的な喧嘩の話だ。ドルジがなぜ殴ったのかから考えなきゃいけないし(知ったこっちゃないが),ドルジが100%悪くても,ただの喧嘩の話だ。それに対して,社会が相撲協会が,内館やヤクミツルといった腐った日本人が「横綱の品格」と繰り返す。品格や格式というものが,相撲業界の闇を作って来たのにだ。それはとっくの昔にあの偉大なマンガ「ああ播磨灘」で糾弾されていて,ドルジこそ現代相撲の救世主である生きた「播磨灘」であったというのに!
「品格や格式」あるいは本当の優しさというのは,神や修羅や人の道を歩いていて,自然に身につけるものであって,強制されるものではないのだよ。それらの強制は,国粋主義・軍国主義・体罰と全く同じものだ。「道」を歩くことの厳しさも苦労も理解できない「文化人」という,批判でしか金を稼げない奴らが,「あるべき日本の姿」を国民に洗脳する社会。素晴らしい民主主義だ。マスコミ万歳!!
のーべる平和賞受賞者が,毎日,アジアで人を殺し,自国民に「死んで来い」と言っているが,それは殺人にも暴力にもならんのかね。「のーべる平和賞」「大統領」の品格・格式はどうなっとるのかね。もちろんテレビはそんなことは言わない,それより相撲の方が大事だもんね。それに,大統領より横綱の方が偉いから。
ドルジの引退会見の,さっぱりとした男らしさと笑顔。あれこそ本当の品格ではないか。そして涙。朝青龍の涙も,白鳳の涙も,相撲という道を生きる求道者のものだった。勝負ではなく,人生の全てであるものへの涙,人間が神に近付こうとする努力,人がよりよく生きようとする毎日への涙。
そして,日本での日々への思い。どう考えても,彼らの方が,相撲と日本をちゃんと愛している。
さても,私たちは優しさを失った。人への寛容さを失った。一億人の批評家と傍観者。体の中を血が流れていることさえ知らない。
昔の落語なら,貧乏や喧嘩早さ,正直や馬鹿は,笑い話で人間の美徳。日本はいい国だったなあ。
さて,そんなことも許されない世の中なら,どうぞお先に天国へお行きなさい。
髭の長い神様が,あんたに優しく頬ずりしてくれるだろうね。
尊敬する照屋林助先生の歌を,ドルジの引退に捧げましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=cjA6BWMbeko
ドルは世界に通用するお金だったが
今では値打ちも下がってしまったよ
日本復帰はドルドルどん
聖徳太子は尻まくり
福沢諭吉は腹出して
ドルドルドンたらドルドルドン
ドルジは世界のいい男
チンギス・ハーンも驚いた
喧嘩早いがいいところ
喧嘩早いが玉に傷
それで日本を追い出されたよ
ドルドルドンたらドルドルドン
これから世の中は変わっていくよ
どうなるんでしょうかねえ
あなたも私も
冷たい人になっていくのさ
ああ たいへんだ 一大事だよ
ああ たいへんだ 一大事だよ
ドルドルドンたらドルドルドン
2008年 大相撲藤沢場所春巡業
投稿者: 由
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