さて,そんなわけで,私たちは博多のリゾート・ホテルに泊まった.
神田川のような暮らしをしていても,月に一度は屋台を借り切るくらいの贅沢をしなくては人間はだめになる.
それで,次の日の博多観光は,ホテルの近くの福岡市博物館に行った.すぐに,質素・倹約モードに戻れるのが,人間の大人が霊長類と呼ばれる由縁である.なにしろこの博物館には,誰もが「ちっちぇー!!」と言って驚愕する「金印」の本物がある.それだけでも,大人200円を払って,お釣りが来る気分だ.しかもここでは,第百六代・正親町(おおぎまち)天皇が将軍・足利義昭へ下付され,義昭から織田信長へ,信長から豊臣秀吉へ,秀吉から福島正則へ譲られた天下の名槍「日本号」,黒田藩の母里太兵衛友信(もりたへいとものぶ)が「酒は飲め飲め、飲むならば、日の本一のこの槍を、飲み取るほどに飲むならば、これぞまことの黒田武士」と三升盃をすらすらと飲んで手にいれた,その国宝「日本号」も見ることができるのだ.
あまりに素晴らしい展示の数々なのだが,私が最も感動したのは,これだった.
貝面.
右は熊本から出土したもの(レプリカ)だが,明らかにスミノエガキで,すげえいい.祭祀に使われていたものなのか,子供を驚かせるおもちゃだったのか.
私は縄文ロマンに遥かに想いを馳せながら,近くにいた博物館のおばちゃん学芸員に尋ねた.
「これは何をするものだったんでしょうね?」
「こっば,知らんとね.昔,夜這いに使われとったとよ.これがほんとのかいめんたい!」
学芸員は何でも知っている.今も聞こえる,あのおふくろの声.
それは海援隊.
投稿者: 由
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