仮屋湾と言っても,どこにあるか知っている人は殆どいないだろう.
それは佐賀県東松浦郡玄海町にある小さな美しい湾でありまして,冬の日におばあさんが静かに牡蠣を打っていた.
岸壁や石に着いているカキを,たがねみたいな道具で割って採るのを,私の田舎では「カキを打つ」といいます.その場で,身だけ採って海水で洗って(海水に入れて)持って帰れば,家ですぐに食べられる.冬には,おばさんが売りにきたり,もらったりしたものです.
日本は牡蠣だらけの国で,海が汚れる前は,どこでもそうやって,手軽に食べられた.
海が汚れると,カキは毒化したり,大腸菌やノロウィルスが怖いので,日本の漁業生産地では厳しい検査が行われていて,安全なカキが市場に出回っています.
そうは言っても,東京湾・横浜のカキを美味しく食べたいな~.
あんなに,大きく肥えたカキがたくさんいるのに,もったいない.
アメリカの研究者たちが,三番瀬のカキ礁を訪れて,「なんで! なんで! これ,食べないの?」と驚いてましたが,日本は海産物があまりにも豊かで,そして日本人は衛生管理や健康への繊細な気遣いがあって,食べ物には実に慎重で贅沢な民族なのですよ.
そういう美意識と長い伝統の中で,レバ刺しという食文化もあるわけで,それを「安全」の一言でお上が取り締まろうなんてぇ国は,なんですな,そう長く持たないと思いますな.
自己責任と自由がなくなって,法律・規律・戒律が多い社会というのは,個人の無責任さの鏡でしかない.
鏡の国の住人は,その窮屈さから,いつか鏡を叩き割って戦争と殺戮を起こします.
「言語」と「約束」に縛られた哀れな人たち.
地球も窒息死しそうだ.
どうか,宗教戦争だけはやめて欲しい.もうこりごり.
このおばあさんのように生きればいいではないか.
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