泡瀬の問題では,恐らく明日,沖縄市と市民団体の重要な会合が持たれるだろう.
沖縄市は工事容認の姿勢を示しているが,あらゆる点で合意形成が充分に成されているかは,甚だ疑問である.
沖縄市が設立した東部海浜開発事業検討会議の議論,内閣府沖縄総合事務局の泡瀬地区環境監視委員会での議論,埋立賛成派・反対派の多数の市民の議論,ベントス学会や生態系研究者から提出されている生態系保全上の議論,これらの多くの賛否両論について,どう考えても充分な議論が行なわれてきたとは認め難い.
東部海浜開発事業検討会議の議論は全体として,工事継続容認とは読み取れない.環境監視委員会では,委員会の運営・議論そのものの公平性・科学性に委員から抗議の意見書が出されている.ベントス学会や生態系研究者から提出されている生態系保全上の議論に,沖縄総合事務局は誠実に答えていない.沖縄県・沖縄市の市民においては泡瀬埋立の推進・反対は伯仲しており,それが東門沖縄市長選出の民意に反映されている.
こうしたことから,泡瀬の開発における議論は未だに不充分で,内閣府・沖縄県・沖縄市が「一方的に」判断できるレベルには,全く達していないと考えられる.
現状で工事の継続・中止を判断することは,どのようなレベルであれ,民意を無視したものであると考えられる.この賛否両論が伯仲する状況の中では,今すぐ工事の継続・中止を判断するのではなく,充分な議論をする充分な時間が必要である.泡瀬の工事を継続するか中止するかではなくて,中断して話し合う時間が必要なのだ.
そのためには,沖縄県・沖縄市において,円卓会議が組織される必要がある.
経済的にも,環境学的にも,全く合意形成が不充分な中で,工事だけが継続されるという状況は許されるべきではない.未来の世代への税金の負担,生態系の破壊などが「負の遺産」にならないためには,先ず工事を中断して議論されなければならない.
東部海浜開発検討委員会の議論は全体として,泡瀬埋立について,計画の再検討と慎重さを強く求めたものだったと考えられる.
東部海浜開発事業検討会議の議論,すなわち地域住民の「慎重な合意形成」を望む声を,内閣府・沖縄県・沖縄市は踏み躙るのだろうか.
それは,東部海浜開発事業検討会議・座長がいみじくも述べたように,民主主義の欠落・喪失ではないだろうか.
投稿者: 由
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