5月3~5日,山口県熊毛郡上関町長島の上関原発建設計画地で「長島の自然を守る会」の調査に参加.
長島田ノ浦では,中国電力による原発建設のための「詳細調査」というボーリング工事が行われていて,痛々しい.
4月下旬にもボーリング工事に対する,長島対岸の祝島漁民たちの苛烈な抗議行動があったが,こういうニュースは全国的には殆ど流れていない.
http://www.iwaishima.jp/home/discuss/discuss.htm
長島の生態系は,「瀬戸内の原風景」「瀬戸内海,最後の楽園」と呼ばれる素晴らしいものである.アビ,スナメリなどが現在も多く見られることは,この海域が瀬戸内海本来の生態系を維持していることを強く示唆している.瀬戸内海全体の海域環境維持・復元のためには,この海域は重篤に保全される必要がある.多くの生態学者・海洋研究者が,そのことを指摘している.瀬戸内海という閉鎖性海域に,原発を建設することの是非も,強く問題視されている.そして,原発を建設する土地としての,地盤の安定度にも問題があり,その議論は決着していない.
中国電力や経済産業省の人たちは,生態系が破壊され海洋資源に顕著なダメージが生じ,万一・ありえないような原発事故が起こっても,記者会見で頭を下げれば済むだろう.だが,我々・その親族・友人・子供たちは,この土地で未来へと永く生き続けるのだ.我々はある土地に住み,その大地,そこに暮らす人々と生物を愛すために存在している.
地盤の安定度の問題は非常に大きい.はっきり言わせてもらうが,ここで地震が起きて,それに原発が耐えられなかった場合,この我々が暮らす楽園は「死の土地」「死の海」になるのである.そのことに対して,中国電力や経済産業省の人たちは,充分な覚悟があるのだろうか.原発建設地としての地盤の安定度の問題においては,充分な科学的分析と論証が必要である.科学的に充分に安全性が保証されるまで,ここに原発を作ってはならない.都合のいい「調査結果」「学説」を援用してはならない.中国電力・経済産業省・その御用学者は,ここで博打を打ってはならない.ここでは,我々の未来の子供たちが暮らすのだ.
科学が永遠に不完全であることを知る者だけが真の科学者である.
「予防の原則」は,そうした知への謙虚さ,人間の存在そのものへの謙虚さに由来している.
長島田ノ浦,2007年5月4日.祝島漁民の強烈な抗議にも関わらず,ボーリング工事が行われている.この国では,住民の権利は,いったいどこにあるのか? 海上,右に見えるのが祝島.
投稿者: 由
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返信削除投稿者:森 千恵2007/5/11 11:31
携帯が繋がらないので・・・教えてください!朝鮮半島におけるオカミミガイの分布域。底土の調査をしようと思うのです。連絡、お待ちしております!