今回の泡瀬調査で採集したハボウキガイの死殻.非常に多くのハボウキが死滅していて,100以上の殻を,その気になれば拾うことができただろう.2002年から,泡瀬干潟の調査をしているが,このようにハボウキが大量に死滅している状況は始めてである.昨年の調査で,砂地になった海草藻場にハボウキの露出や死滅が目立ち始めたが,今年は多くの死滅を確認した.
ハボウキ Pinna bicolor(ウグイスガイ目ハボウキ科)は沖縄県レッドデータブックで,絶滅危惧Ⅱ類に指定されており,生貝の採集は,もちろん望ましくない.生きている時には,エビ類やトウガタガイ類が共生しており,殻にはウスヒザラガイやカキ類が付着して生息している.ハボウキは,その動物体の大きさ,生息量の多さ,共生生物・付着生物の基盤として,泡瀬干潟の生態系において,非常に重要な種であると位置付けられる.このような種が減少すると,泡瀬干潟の生物多様性は大きく損なわれる.
写真7)2007年6月15・16日に泡瀬干潟で採集したハボウキの死殻.まだ,新鮮なものが多い.死殻でも,ウスヒザラガイなど多くの生物が付着基盤として利用しているので,死殻を採集する場合も,生きている生物への細心の注意が必要であるし,大量に採集することは生態系にとって望ましくない.
投稿者: 由
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