薩摩長島と云えば,蝸牛のナガシマギセル(=アメイロギセル/クロギセル)の産地として全世界的に有名ではあるが,私は陸貝をすっかり引退していて,落葉一枚もめくる気力がない.また,薩摩長島と云えば,藤沢の雀荘で働いているツルさんの故郷でもあって,心優しい男の島として有名である.
長島から鹿児島本土に渡る海峡は黒之瀬戸と呼ばれる急流である.
黒之瀬戸の売店では,ギンタカハマが「たかぜみな(高瀬もしくは高背・蜷)」と呼ばれて売られていたが,買わなかった.
そしたら,奄美の珍味「海ゴーヤ」なるものが売られていて,これは初めて見たので買ったいうか,本体である海藻も珍妙さることながら,おまけに貝が付いていて,それがワカカガミとアダンソンタママキだ.どちらも生息地のごく限定された希少貝類であって,慌てふためいて買い求めた.
奄美の浜辺で,地元の主婦や子供たちが拾った貝殻を袋に入れて,海ゴーヤのおまけにする.素晴らしい心遣いだ.そして,関東からやってきた貝マニアが,おまけをうっかり本体と勘違いして買ってしまう.資本主義や物々の流通とは,斯くのごとく心のふれあいであるべし.
投稿者: 博由
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