ゴトーさんが,失われゆく唄の記事を探してきた.九州の労働歌の特集.西日本新聞は子供の頃,愛読していた.この特集は素晴らしい.
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/kayou/20060807/20060807_001.shtml
ここに紹介されているのは,大分県国東半島に伝わる「まてつき唄」で,マテガイ(馬刀貝)漁労で歌われた唄だ.
「嫌じゃ母(かか)さんマテ突きゃ嫌じゃ 色も黒うなりゃ腰ゃかがむ」
という歌詞は知っていて,これは干潟でマテガイを突く漁だと思っていたが,さにあらず,水深10m前後でのけっこう大掛かりな漁なので驚いた.
「沖のトナカにお茶屋を立てて 上り下りの舟を待つ」とあるので,昔から船での漁だったようだ.水深10m前後で採っているということは,これはマテガイではなくて,アカマテやオオマテだったのだろう.
「まてつき唄」は貝にちなんだ民謡として珍しいということで,故波部忠重博士が記録しておきたいと話されていたことがあった.私にはその思い出があって,今年参加した国東高校東京同窓会で唄の消息を尋ねたら,この記事にあるように保存会があるということで安心した.
マテガイの唄も珍しいが,この漁法も珍しい.干潟のマテガイやアゲマキを棒で突いて採る漁法は各地にあるようだが,水深の深い場所で採る漁法は珍しいと思う.他の土地にもあるのだろうか?
マテガイの語源は諸説があってはっきりしていないが,韓国でも「マ(馬)」と呼ばれている.胴体が横に長いからなのか? 語源にディープインパクトを感じています.
早起きして凱旋門賞を見たんだけど,ディープインパクトは調子が悪そうで,かわいそうだった.フランス語が耳障りで,うんざりしていたのだと思う.でも,単勝が1.1倍を記録しただけでもすごい.
ということで,馬の話題でした.
ジャングサマテガイ(じゃん草馬刀貝:泡瀬干潟産,長田さん採集):「じゃん(ざん=ジュゴン)が食べる草」=海草(の生えている所に生息する)マテガイ.「儒艮(じゅごん)・草・馬・刀・貝」という名詞の集合がおもしろい.
「儒艮が草競馬に行って,刀を貝ました.刀を買った儒艮は,競馬で負けた馬を切り捨てて食べようと思っていましたが,よく考えたら刀をうまく使えませんでした.刀を持っていても侍になれないことを知って,儒艮は海で暮らし肉を食べずに草を食べることにしました.儒艮が海に捨てた刀は貝になり,じゃん草馬刀貝と呼ばれるようになりました」(「琉球の動物名由来 第三巻 中城村」).
と言うのは冗談で,Solen soleneaeの和名・ジャングサマテガイは名和(2005)の命名です.
投稿者: 由
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