新種・新記録と考えられる貝や和名のない学名に,やたらと和名を付けていて,顰蹙を買っています.私の場合,和名を提唱したことで,その種に対して研究上のプライオリティが自分に生じるとは考えていないので,すみません.以下は,私が関わった和名の名作の数々.
スクナビコナトクサガイ(少名毘古名木賊貝:山下):Terebra pumilio (E. A. Smith, 1873),ヘリグロツクシ(縁黒土筆:小菅)の異名.
カクメイ科(革命科:福田・山下):Cornirostridae Ponder, 1990
イシン属(維新属:福田・山下):Tomura Pisbry & Mcginty, 1946
イッキ属(一揆属:福田・山下):Noerrevangia Waren & Schander, 1993
シドニーカクメイ(Sydney革命:福田・山下):Cornirostra pellucida (Laserson, 1954)
フロリダイシン(Florida維新:福田・山下):Tomura bicaudata (Pisbry & Mcginty, 1946)
ホッカイイッキ(北海一揆:福田・山下):Noerrevangia fragilis Waren & Schander, 1993
ヤシマイシン(八島維新:福田・山下):Tomura yashima H. Fukuda & H. Yamashita, 1997
ヒメシマイシン(姫島維新:福田・山下):Tomura himeshima H. Fukuda & H. Yamashita, 1997
メリーランドスナガイ(Maryland砂介:山下):Gastrocopta (Gastrocopta) procera (Gould, 1840)
チャーリーサナギモドキ(Charley擬蛹:黒住・山下):Pupoides albilabris (C. B. Adams, 1841),ヤンキーサナギモドキ(Yankee擬蛹:山下)は異名.
ツヤミジンマイマイ(光沢微塵蝸牛:山下):Vallonia pulchella (Mueller, 1774)
ガンヅキ(蟹付き:山下・福田):Arthritica japonica Luzten & Takahashi, 2003
ユンタクシジミ(ゆんたく蜆:山下):Litigiella pacifica Lutzen & Kosuge, 2006
トゥドゥマリハマグリ(とぅどぅまり蛤:山下):Meretrix sp.(Ozawa, in prep.)
ヤイマカチドキシタダミ(八重山勝鬨細螺:福田・山下):Clenchiella sp.(Fukuda & Ponder, in prep.)
カトゥラプシキシタダミ(かとぅらぷしき細螺:山下・福田):Hydrobiidae gen. et sp.(Fukuda & Ponder, in prep.)
ウラウチコダマカワザンショウ(浦内木霊川山椒:福田・山下):Taiwanassiminea sp. (Fukuda & Ponder, in prep.)
コーヒーイロカワザンショウ(珈琲色川山椒:福田・山下):Assimineidae gen. et sp. (Fukuda & Ponder, in prep.)
ニライカナイゴウナ(にらいかない寄居虫:山下):Leucotina sp.(未記載)
イソスギナミドリガイ(磯杉菜緑介:山下):Elysia sp. (未記載)
チブルヌサリガイ(頭ぬさり介:山下):Lasaeidae gen. et sp. (未記載)
スジカワザンショウ(筋川山椒:山下;韓国名=スジキスウロンイ:筋のある汽水の小さな巻貝:山下・佐藤):Assimineidae gen. et sp.(未記載)
ガタザンショウ(潟山椒:山下;韓国名=ケッポルキスウロンイ:干潟に棲む汽水の小さな巻貝:山下・佐藤):Assimineidae gen. et sp. (未記載)
シャミセンヒキ(三味線弾き:山下;韓国名=ケマサリチョゲ:三味線貝に寄生する二枚貝:山下・佐藤):Lasaeidae gen. et sp. (Hong et al., in prep.),ケッポルヘノジガイ(ケッポルへの字介:山下)は異名.
オオシャミセンヒキ(大三味線弾き:山下):Lasaeidae gen. et sp. (Hong et al., in prep.)
オオシンデンカワザンショウ(大新田川山椒:福田・山下):Assimineidae gen. et sp. (Fukuda, in prep.)
コイブミツボ(恋文小螺:山下):Alvania sp.(未記載)
ドロセンシャ(泥戦車:山下):Onchidium? sp.,ヤベガワモチ(矢部川餅:福田)の異名.
私は,和名に先取権(年代の古いもの)が有効とは考えておらず,異名がいくつあってもいいと考えています.ただし,標準和名をちゃんと決めることは,国内での分類の混乱を防ぐために必要で,日本魚類学会などで先駆的に議論されていますので,参照して下さい.新種の和名に関しては,新種記載論文で提唱されたものを標準和名にすべきと考えていて,未記載種の和名は標準和名の候補にすぎないと思っています.
ガタザンショウ(ケッポルキスウロンイ):韓国セマングム地域(芳賀氏,撮影)
投稿者: 由
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