2022年5月30日月曜日

「太平洋でゆんたく」2006/9/26

今日届いたVenus(日本貝類学会誌)にユンタクシジミが新種記載されていて,とてもうれしい.


Jorgen Lutzen & Takeharu Kosuge (2006)

Description of the Bivalve Litigiella pacifica n. sp. (Heterodonta: Galeommatoidea: Lasaeidae), Commensal with the Sipunculan Sipunculus nudus from the Ryukyu Islands, Japan. Venus, 63 (3): 193-202.


Litigiella pacifica Lutzen & Kosuge, 2006

ユンタクシジミ(チリハギ科)

タイプ産地:石垣島名蔵

分布:沖縄島沖縄市泡瀬干潟・石垣島名蔵


スジホシムシに共生するこの種は,小菅・久保(2002)が種名不明種として報告し,泡瀬干潟でもNさんが発見してユンタクシジミと和名をつけた(山下ほか,2005).

記載論文では,「将来的に起こりうる混乱を避けるために,山下ほか(2005)で提唱された和名を採用した」とあり,和文要約には複数の貝がスジホシムシに付着する様子を「数名が集まっておしゃべりをするという意味の沖縄方言「ゆんたく」を用いたものである」と和名の由来も親切に解説されている.和名を正式に採用していただいた小菅さんに深く感謝したい.

泡瀬では一匹のスジホシムシに5個のユンタクシジミが共生していた例もあり,丸くて可愛いいこの貝がゆんたくしているように見えたのだった.

ユンタクシジミに最も近縁な種は大西洋のフランス西岸から記載されたLitigiella cuneoti (Lamy, 1908)(やはりスジホシムシに共生)であるとのことで,学名は太平洋の種という意味なのだろう.

泡瀬にいる貝が新種記載されて,本当にうれしい.現在,2ヶ所しか確認されていない生息地の一つが泡瀬干潟なので,その生息環境が保全されるよう期待したい.

スジホシムシに共生するユンタクシジミ:泡瀬干潟(長田さん撮影)


投稿者: 由

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