それでまあ,相変わらず牡蠣のことばかり考えている夏が続いていて,スミノエガキの記載者はFujita, 1913が正しいとかですね.それで,広島駅の新幹線乗り場で買ったつまみなんですけど,「海の干しがき」という名前の干したカキです.カキの燻製は珍しくないけど,干したのは珍しい.300円なんだけど,買うのをかなり迷う.なんとなく色は悪いし,やっぱり燻製みたいに不味いんじゃないかと思うし,やはり二枚貝というのは重金属とかダイオキシンをいっぱい溜めこんでる場合があるのでたくさん食べるのはちょっととか軟弱なことを思うわけですよ.それでもまあ,殆ど義務感で,しょうがねえなーという感じで意を決して買った.
それで,その夜,「原発に反対し上関町の安全と発展を考える会」の事務局に泊まったわけですが,森田さんと氏本さんという紳士たちも泊まっていて,缶ビールでもちょいと飲むことになったわけです.森田さんというのは「世界一穢い髭を持つ男」として有名でしたが,最近はずっと髭を伸ばしていない.それはもう本当に汚いではなく「穢い」という感じがふさわしい,誰も見たことがないような穢い髭を生やしていて,世界遺産にして剃るのを禁止して欲しいくらい貴重な髭だった.氏本さんというのは「豚の」と言えば,今では誰もが「おお」という祝島の氏本農園の氏本さん.初対面だけど,いろいろ話を聞かせてもらった.
それで,私はそう云えばと,一人であまりたくさん食べたくない「干しがき」をあけて,テーブルの上のさきいか君とかの仲間として忍ばせたわけです.それがですねえ,この「干しがき」がたいそう美味しかったわけです.私はもう大変に感激して,もっと買えばよかった,帰りにはたくさん買って御土産にしようと思ったくらいですが,帰りは広島駅で途中下車がなくて買えなかった.
カキの燻製があまり好きでない私にとって,「干し牡蠣」というのは一つの光明であり,正に牡っ蠣的商品ではないかと思うわけです.「海の干しがき」というネーミングも,あまりみんながさほど好んで食べようとしない「干し柿」にその今一な存在感と頑丈な歯ごたえと色合いの悪さが共通していて,実に奥深いネーミングだと思う.
牡蠣というのは,その漢字が示すように,ちょっと考えすぎるというのがいいところで,思索の深みにはまるのに「干し牡蠣」の歯ごたえは格別のものだと言えます.
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