兵隊さんがやってきて
サンゴの育たない海となり
ジュゴンも住めない海となり
ヘリコプターが飛び交う海となるってさ
「海どろぼう」の最新バージョン:佐渡山豊
*「大国」や大陸の人間にとって,島というのはまるで「石ころ」のようだ。
島は,領土の目印や,基地を置く場所であり,「本土」の人間は島とその住人を「石ころ」のように見下し,いつでも海に捨てることができると考えている。島は,たまに観光に行き,「豊かな自然の贈り物」を時々届けてくれる都合のいい場所らしい。
私は,姫島から国東半島の高校に進学して,島差別をはっきり感じた。僻地の中でも,島というのは上等な差別を受ける。校長が「勉強をしないやつは,島に帰って,漁師でもやれ」と言うようなクソ進学校だった。
私は14歳で「どうちゅいむにぃ」を聞いていたので,そんなのはへっちゃらだったけど怒っていた。なので,高校の音楽室のコンサートで「どうちゅいむにぃ」を歌い,今でも歌う。
*この歌を「どうちゅいむにぃ」(独り言)と言い切るのが,島の人間であり,フォークソングなのだ。
島が孤立であり隔絶であるとすれば,島は個人であり個性であり,思想は全て独り言であり,そこには正義や善悪はなく,「迷いという人間に許された自由」があり,「神ではなく人間だけが持っている優しさ」の王国がある。沖縄とウチナンチューを知る人なら,このことを理解してもらえるだろう。
*佐渡山さんの「海どろうぼう」は,中学生だった私の心を強烈に捉えて,今も海の仕事をして,歌い続けている。
*沖縄だけでなく,日本もしょせん小さな島としか思われていないのだよ。
私たちはみな島の人間だ。海が大切で,波動が人をつなぐことを知っている。
***
「海どろぼう」
とってもきれいな海だった
いつも泳いだ海だった
魚釣りした海だった
幼なじみの海だった
ドライブしたのは秋だった
キャンプしたのは夏休み
春は楽しい潮干狩り
みんなの好きな海だった
なんにも言わない海だった
とっても優しい海だった
おふくろみたいな海だった
親父の職場も海だった
だけど今では泳げない
ションベンくさい海だから
油くさい海だから
魚も住めない海だから
かえせかえせよ 海どろぼう
どこまで汚すか 海どろぼう
かえせかえせよ 海どろぼう
汚してくれるな 海どろぼう
クスリをくらって魚が泣いた
魚を釣って親父が泣いた
魚を食べて あの子が死んだ
正体不明の不思議な病
魚の好きな おいらには
とってもショックな話だが
夕べ 食べた魚にも
クスリが入っていると言う
かえせかえせよ 海どろぼう
どこまで汚すか 海どろぼう
かえせかえせよ 海どろぼう
汚してくれるな 海どろぼう
作詞作曲:佐渡山豊
投稿者: 由
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