あるところに
ミズムシと
ミズスマシが
いました
ミズムシは
びんぼうで
くつしたが
買えません
ミズスマシは
お金持ちで
めがねを
ふたつ持っていました
ミズスマシはまた
有名人で
池の中で
知らない人はありませんでした
ミズムシは無名でしたが
足のうらに
たくさんの詩や
小説を書きためていました
***
労働というものについて
ミズムシが言いました
「それは5本のうちの
1本である」
ミズスマシは
「いやそれは
4本のうちの
5本である」
と言いました
アインシュタインが
池のほとりで
この会話を聞いており
石を池に投げこみました
水面に丸い輪の波がおきると
ミズスマシは
陸に近づいていきました
ミズスマシ ミズムシ ミズムシ
ミズムシ ミズスマシ ミズムシ ミスズマシ
ミミズ ミミズク ミズスマシ
ミズムシもミズスマシも
言葉の渦の中に
すいこまれていきます
***
緑色の池の底では
水草がゆれていました
カナダモ オオカナダモ オオカナダモ カナダモ
マツモ キンギョモ キンギョモ マツモ
そこにはジャズがあって
みんな 心のかゆみやおせじを
忘れたということです
ミズスマシとミズムシは
鏡の王国に帰り
仲良く暮らしました
(語り:ハンサム・レイク:テトン・スー族)
2017/5/18 fin
投稿者: 由
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